「今は那須川天心について語る資格はない」WBO王者の武居由樹が右肩に全治4週間の怪我を負い1月24日のV2戦が延期…来年秋にもと噂されていたビッグマッチへ与える影響とは?
ただ今回の怪我で2025年の計画が若干狂ったことも確かだろう。ファンの注目は、元キックボクサー同志の対決となる天心戦への影響だ。10月に天心が世界戦へのパスポートとなるWBOアジアパシフィック王座を獲得した試合を武居はリングサイドで観戦して「だんだん実現に近づいているというのを感じる。僕自身はいつでもいい」と発言。天心から「もう少し待って」とアンサーがあると、5日の公開練習では「ふられたかな。ガッカリ。待つならもう1本ベルトを持ってこい」と再び挑発的なメッセージを送った。 それに対して天心もまた返答。16日に「HEROs AWARD 2024」の表彰を受けた際に「ふってもいないし、告ってもない。時間をかけてやるよと言っています。恋愛に慣れてないじゃん(笑)。(恋愛には)駆け引きがありますよ」とウィットに富んだ表現でやり返した。徐々に気運が盛り上がっていた最中のアクデント。 この日、武居は、天心戦について多くを語らなかった。 「今は怪我を治すこと、復帰することしか考えていない。その先は言えることは何もない。今は(天心について)言う資格もないのかなと」 天心陣営の計画は、来年2月に元世界王者と“疑似世界戦”を戦い、6月にさらにもう1試合を挟み、早ければ、秋のプロ8戦目に武居のベルトに挑戦したいというもの。だが、大橋会長は「そもそも天心戦の計画などない」と憮然としていた。 「(将来の天心戦が)注目される試合だからこそ、今回は思い切って中止にした。無理にやったら負けていただろうし、いい試合もできなかっただろう」 確かにすべては構想段階で何ひとつ具体化はしていない。だが、ファン待望のビッグマッチへの影響はないとは言えないだろう。 武居はまだ完成形のチャンピオンではない。 もし秋に天心を迎え討つのであれば、怪我からの復帰戦となるユッタボンとの試合が、ビッグマッチの前の最後の防衛戦となる。武居は「すぐにでも天心とやりたい」と語っていたが、その1試合で大橋陣営が武居に求めている技術のブラッシュアップができるのかどうか。逆にその間に天心が2試合を消化し、さらにボクサーとして進化していることが予想される。そう考えると、全治4週間の大きな怪我は、武居ー天心のビッグマッチに小さくはない影響を与えたと言っていいだろう。 武居は右肩に負担のかからないトレーニングを継続していくという。 「できることをやりながら回復させていきたい」 会見が終わると、大橋会長の囲み取材などが続いたが、武居は報道陣の全員が引き上げるまで、ずっと玄関口の近くに立っていた。 「この間、左のパンチを磨きます」 その誠意と謙虚さがあれば、武居はきっと強くなってリングに戻ってくる。 (文責・本郷陽一/RONSPO、スポーツタイムズ通信社)
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