「寝る直前の食事・飲酒」にこれほどのデメリットが…認知症診療医「<第3の糖尿病>といわれる<アルツハイマー型認知症>への影響も」
厚生労働省は2024年5月8日、認知症の患者数が、2060年に推計645万人に上ると公表しました。そのようななか、認知症診療医の今野裕之先生は「『寝る前3時間は食べない』という習慣を身につけるだけで、認知症予防に繋がる」と話します。そこで今回は、今野先生の著書『ボケたくなければ「寝る前3時間は食べない」から始めよう 認知症診療医に教わる最強の生活習慣』から、誰でもすぐにできる認知症予防のコツを一部ご紹介します。 【イラスト】寝る前3時間の食事でいい眠りがとれなくなる理由 * * * * * * * ◆寝る前3時間に食べていると睡眠中に起こるこれだけのデメリット 寝る直前まで食べたり飲んだりしていることにより、体にどんな影響があるのでしょうか。 まず、胃では食べたものと消化に必要な胃酸が残っているため、夜中に胃酸が逆流して逆流性食道炎の原因になります。 また、食事の際に水分を摂ることで夜中にトイレに行きたくなり、何度も目が覚めるという夜間頻尿で困っている人も多いです。 寝酒の問題はさらに深刻です。アルコールは脳の働きを低下させます。 睡眠薬と似たような作用があるので一時的には眠くなりますが、実は睡眠は浅くなり、質が悪くなるため、「脳のゴミ出し」もうまく働きにくくなります。 以前は「少量のお酒を飲んでいる人のほうがむしろ認知症になりにくい」といわれていましたが、最新の研究では「少しのお酒でも認知症のリスクになる」といわれるようになってきました。 しかし、自分で実感できる症状はまだいいのかもしれません。 問題はむしろ、自分では気づきにくい「睡眠中の血糖値スパイク(血糖値の急上昇・急降下)」という現象です。
◆寝る前の糖質で睡眠中に血糖値が乱高下 食べたものをエネルギーにするために不可欠なのがインスリンです。 膵臓から分泌されるホルモンで、エネルギーの元になる糖(ブドウ糖)を細胞の中に送り込むという働きをしています。 食事をして血糖値が上がるとインスリンが分泌され、食事の中の糖は細胞に取り込まれて血糖値が下がります。 健康な人の場合、食事をしてからおよそ30~60分で血糖値が最も高くなり、4~5時間すると最も低くなります。 ところが、寝る前に糖質を摂ってしまうと、寝ている間に血糖値が急激に上がり、その結果インスリンが過剰に分泌され、その後急激に血糖値が下がるという現象が起こることがあります。 この血糖値の急激な変動により自律神経が乱れ、特に低血糖になったときには脳を覚醒させるアドレナリンなどのホルモンが分泌されるため、眠りが浅くなります。