初開催のFE東京E-Prix、レース展開の予想は困難? ドライバーの駆け引きを想像すべし!
フォーミュラE東京E-Prixがついに開幕する。日本初の本格公道レースであるだけでなく、フォーミュラEにとっても重要な位置付けのレースであるのは間違いない。 【写真】開幕直前! フォーミュラE東京E-Prixフォトギャラリー 日産は、前戦サンパウロE-Prixでオリバー・ローランドが3位表彰台を獲得。同じく日産パワートレインを積むマクラーレンのサム・バードが優勝しており、良い勢いでホームレースに乗り込んでいる。 日産のチーフパワートレインエンジニアを務める西川直志エンジニアは、各チームが灼熱のコンディションに苦しめられたサンパウロを次のように振り返った。 「前戦は気温が非常に高くて、各チームかなり苦しんでいたと思います。日産パワートレインを搭載して勝ったマクラーレンでいうと、前半はパックレースになって先頭に出たがらなかったところを、(サム)バードが押し出される形で前に出ました」 「結果的には、あれでバッテリーのラジエーターに風が当たって、有利になっていたと思います。あとはドライバーがいかにエネルギーマネジメントに優れているかというところも含めて、どうやって温度管理をしていくかのところで差がついたところなんじゃないかと思います」 東京E-Prixのサーキットは東京ビッグサイト周辺に設けられている。当然ながら各チームは新たなコースにうまく適応していかなければならない。 午後にFP1を控えた金曜日は、コースコンディションをチェックする上で重要な時間ではあるが、金曜午前はあいにくの大雨。午後になって天候が急回復しているが、土曜日の予選・決勝に向けてどれだけのデータが参考になるかは未知数だ。 サーキットの印象について、西川エンジニアは次のように語った。 「抜きづらそうだとドライバーが言っているのと、バンピーだという話をみんなしています」 「なのでトラックウォークでどういう状況、コンディションなのか見極めるのが非常に大事なんですが、金曜日は雨で土曜日は晴れるという予報なので、そうなるとFP1のデータがあんまり活きてきません。より苦しむことにならないといいなと思います」 昨シーズンから、一発の速さは時折見せていた日産パワートレイン勢。序盤4レースを見るとレースペースの面で大きく進歩しているように見える。 これについて西川エンジニアは、ソフトウェアやチューニングの面でより”賢く”なっているのだと語った。 「フォーミュラEは1世代のマシンで4シーズン戦う中で、2年に一回しかハードウェアは更新できません。なのでシーズン9とシーズン10は同じハードウェアを使っています」 「じゃあその中で何が変えられるのかというと、ソフトウェアは常に更新していますし、レーシングチームとしては戦略性だったり、タイヤの使い方だったりサスペンションのセッティングだったりというところでどんどん賢くなっているんだなと思っていただけたらと思います」 フォーミュラEのレースは限られたエネルギーをうまく活用していくことが重要となる。そのため、エネルギー管理が厳しく求められるサーキットでは、各車がペースダウンし団子状態になることもままある。 では、東京E-Prixはどんなレースになるのだろうか? 西川エンジニアは、どんな展開になるのかは予想が難しいと話しながら、ドライバーの駆け引きを想像して欲しいと話した。 「レース展開を予測するのは難しいんですよね。第3戦ディルイーヤE-Prixでは(ニック)キャシディと(ロビン)フラインスが飛び出しましたけど、あれはすごくギャンブルなんです。エネルギーを使って後ろを引き離して、(自分が)アタックモードを使っても抜かれないようにしていたんですけど、あそこでセーフティカーが入ると、エネルギーだけ使って差がゼロになってしまいます」 「あの時はそういうことが起きなかったですけど、最後はペースが落ちて差がほとんどありませんでした。その辺をどう賢く戦うかというところが肝になってくると思うんですけど、(各車が)どん詰まっていてもみんながエネルギーセーブをしながら最後にかけているのかなとか想像しながら観れるといいですね」
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