キャリア18年の女子レスラーが最前線で闘い続けられるワケ「他人と一緒のことをやってもしょうがない」
取扱注意の“大怪獣”ボジラ操縦法
このコメントからも分かる通り、野崎の考え方には柔軟性がある。そのスタンスにある野崎の姿勢は、マリーゴールドを暴れ回る、取扱注意の“大怪獣”ボジラの扱いのうまさにも現れている。 これに関して野崎は、「ボジラ自身がたぶん私と組むことを楽しんでくれているからだと思っています。他の人と組んだ試合を見ているかっていうと見てないんですけど、SNSに書かれたものを見ると、ボジラってこんなに笑うんだとか、野崎渚と組んでいる時のボジラは楽しそうとか。そう書かれているのを見ると、楽しいんだなって」と明かす。 ちなみに、ボジラの操縦法に関するツボはあるのか。そう問うと、野崎は「基本的にないです」と話しながら、「ボジラはデカくて強い。だったら、それを生かしたチームってなったら、別に私も弱いわけではないので、お互いが強く行けば自然と強くなれる。特に連携技があるかといったらないですし。たぶんその考え方が自然と噛み合っているから楽しいんだと思いますね」と話した。 野崎は言う。「(ボジラは)選手の中で飛び出たパワーと身長の高さを生かしている。デカくても、どっか身長の高さを生かしていない選手っているじゃないですか。この人、身長は高いのにデカく見えないなあっていうのがボジラにはまったくない。たぶん、それは彼女が考えて動いているからだと思います。だからプロレスに対して、いろいろ考えているんだろうなっていうのは感じますね」(野崎) なお、ひと通りの取材が終わって野崎と雑談中、野崎が自身のX(11月1日)に、タイムリープがテーマになっている人気漫画『東京卍リベンジャーズ』の展示会に出向いたことに触れた際のこと。野崎に対し、「過去に戻れるとしたらいつがいいか」という話を振ってみた。 すると野崎は「戻りたくないですね。嫌だ……」と即答。この発言は、それだけ嫌なことだらけだったのか、逆に明日だけを見ていたい、という意味なのか。それは定かではないが、「戻りたいと思わないですね。人生変えたくないですね。しっかり考えたら(戻りたい瞬間が)あるかもしれないけど、今パッと思い浮かぶ時はないですね」と答えた。「人生変えたくない」との野崎に、異様なたくましさを感じた。 昨今、Sareeeの裏投げによって、改めてプロレス技の危険度がクローズアップされたことに関しては、「危険な裏投げだとは思いますけど、私は食らっといてよかった」とコメント。確かに、どの程度のダメージが残るのかを知るには、食らってみるのが手っ取り早い。そう発想を前向きに転換できるのも、実は野崎の強みの1つと見た。 要は、すべてをプラスと捉えられる生き方こそ、次への明るい未来が開けてくる。あくまで前向きに物事を考える姿勢。これは年末のSareee戦はもちろん、今後の野崎の動向には、最大限注視する必要がありそうだ。
“Show”大谷泰顕