現役職員「2万請求も使ったのは1万」食費を過大徴収…障害者施設“事業停止”へ
株式会社『恵』が設立されたのは、2012年。その後、グループホームを展開し始め、信用調査会社の調べでは、2019年1月決算で、約3億5000万円だった売り上げは、4年後の3月決算では66億6000万円と、20倍近くとなっています。 厚生労働省の会見:「食材料費の過大徴収について、同社の本社等による組織的な関与が認められることから、障害者総合支援法に基づく“連座制”を適用することとして、本日、その旨を同社および関係自治体に通知した」 厚生労働省は、不正を組織ぐるみだと判断し、6年ごとに行われる事業指定の更新を認めないことを決めました。全国に104ある『恵』のグループホームは、今後、事実上の事業停止となります。 ただ、利用者にとって、施設を変えるのは、簡単なことではありません。 愛知障害フォーラム・柳原康来事務局次長:「例えば、住む場所が変わる、関わる人が変わるというのは、私たちが想像している以上にストレスですし、場合によっては、そのストレスが原因で、自傷行為や人を傷つけてしまう行為につながる場合も考えられますので、本人にとってもしんどいですし、周りの方にとっても、すごく影響が出てくるんではないかと考えます」 取材に対し、『恵』は「真摯に受け止めて、今後の対応を検討していく」としています。
◆今回、行政処分を受けたのは、全国104カ所で障害者向けのグループホームを運営する『恵』。事業所の定員は、合わせて約1800人です。 愛知県と名古屋市は、県内の27の事業所のうち、5つの事業所に“事業者指定取消”の行政処分を行いました。早ければ、今年8月31日、遅くても12月1日までに指定が取り消されます。 この処分を行う理由としては、入所者から食材料費を過大に徴収、勤務実態のない職員が働いているように装い、障害福祉サービス報酬を不正に請求したこと。食材料費に関しては、愛知県と名古屋市が管理する18の事業所で、合わせて約1億7000万円が過大徴収されました。また、不正請求に関しては、合わせて約3億円が請求されました。 食材料費の過大徴収に関しては、実は、全国的に行われていました。厚生労働省によりますと、104カ所の事業所のうち、10の都と県の77カ所で、合わせて約3億円が入所者から過大に徴収されていました。 “指定取消”を受けると、今後、どうなるのでしょうか。 厚労省によりますと、指定取消=事業停止ではなく、給付がなくなることだといいます。給付がなくなると、経営が厳しくなるので、“事実上”廃業となる場合が多いといいます。そして、今回は、組織性が高いとして、いわゆる“連座制“を適用する方針です。 愛知・名古屋の5つの事業所は、遅くとも年内には指定取消になりますが、いわゆる連座制が適用されれば、ほかの事業所に関しては、指定取消の処分日から、5年間は指定の更新はできないとしています。 今後について、各自治体に聞きました。 千葉県は「すぐに事業停止、入所者の転居が必要な施設はない。指定取消になる場合は、それまでに入所者側と事業者側でどうするかを話し合う」としています。 茨城県は「すぐに事業停止にはならないが、利用者が継続してサービスを受けられるよう、関係自治体と課題を共有する」としています。 愛知県は、事業所が指定取消になった後のことについて、入所者の意向を丁寧に把握して、必要なサービスに適切につなげるよう各市町村に要請、県が市町村にアドバイザーを派遣し、転居先などの調整をバックアップ、障害の程度が重く、転居先がない入所者は、県の施設での受け入れを検討するとしています。
テレビ朝日