米消費者の1年先インフレ期待、2020年10月来の低水準-NY連銀調査
(ブルームバーグ): 米消費者のインフレ期待は小幅に低下し、個人所得の見通しは横ばいで推移、労働者は雇用市場に関して自信を強めていることが、ニューヨーク連銀の調査で明らかになった。
同連銀が12日に発表した調査結果によると、消費者の1年先のインフレ期待は10月に2.9%と、前月から0.1ポイント低下。2020年10月以来の低水準となった。3年先のインフレ期待は2.5%と、0.2ポイントの低下。5年先のインフレ期待は2.8%で、0.1ポイント下げた。
今回の結果は、消費者のインフレ期待が引き続き安定しているといういくらかの安心感を与えるとみられる。これは米金融当局が利下げペースを判断する上で観察しているシグナルだ。こうした景況感調査は科学的予測ではないが、期待が自己実現する可能性があるため、将来の行動に関する情報となり得る。
インフレ率の上昇を予想する消費者は通常、より高い給与を要求する傾向がある。これはエコノミストが「賃金・物価スパイラル」と呼ぶ状況につながり得る。賃金コストの上昇に直面した雇用主が、利幅を維持するために値上げを図るという状況だ。
消費者のインフレ期待は落ち着いているが、米企業経営者のインフレ期待は2024年10-12月(第4四半期)に上昇したことが、クリーブランド連銀のインフレ・リサーチ・センターによる最新調査で示された。企業の最高経営責任者(CEO)らの1年先のインフレ期待は3.8%と、7月時点の3.4%から上昇した。
雇用見通し
ニューヨーク連銀の調査によれば、1年先の個人所得の伸びに関する見通しは10月に中央値で2.8%と、前月から変わらず。この数値は今年に入って2.7-3%の狭いレンジで推移しており、雇用主にとっては人件費の予測において一定の確実性が得られている。
労働市場の見通しは改善。失業率上昇の可能性は低下しており、解雇された場合に再就職できる可能性は高くなっているとの見方が示された。