2025年度「国民健康保険料」の上限を3万円引き上げ「106万円→109万円」に…高所得者の負担増
国保は加入者減少も赤字続く…理由と対策は
厚生労働省によれば、令和4年度の国民健康保険の加入者は2413万人で、前年度に比べて124万人減少しています。 収入・支出もともに減少していますが、収支の差額は1067億円の赤字です。依然として保険加入者には大きな負担がかかっているといえます。 負担が大きいと感じる要因として、医療給付の増加と被保険者の所得の低さが考えられます。厚生労働省の「令和4年度国民健康保険実態調査」によれば、被保険者のうち41.7%が65~74歳の高齢者となっています。 そして、高齢化や医療の高度化にともない、医療給付も増えています。医療給付が増えると、給付財源である保険料の負担も増えてしまうのです。 一方で、所得は減り続けています。厚生労働省の「2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況」によれば、2022年の1世帯あたりの平均所得は524万2000円で、前年と比べると3.9%減少しています。 国保加入者の多い高齢者世帯の平均所得は304万9000円で、前年比減少率は4.2%です。 社会保障費の負担増加は、現代において重要な課題です。対策するには、抜本的な改革が必須でしょう。 たとえば、医療費の自己負担割合を現在の「現役3割、高齢者1~2割」から、一律3割にするといったことが考えられます。 また「世代間での支え合い」から「世代内での支え合い」へのシフトも十分検討の余地があります。中間層・現役世代の負担が過剰にならないよう、社会保障に関するさまざまな動きを注視していく必要があるでしょう。
参考資料
・厚生労働省「国民健康保険の保険料(税)の賦課(課税)限度額について」 ・東京都保健医療局「保険料額について」 ・東京都保健医療局「令和6年度国民健康保険料(税)率等の状況」 ・新宿区「令和6年度 国民健康保険料 概算早見表(総所得金額等)」 ・名古屋市「令和6年度 名古屋市国民健康保険料 概算早見表」 ・青森市「国民健康保険税の法定軽減」 ・厚生労働省「令和4年度 国民健康保険実態調査」 ・厚生労働省「医療費の財源構成(令和3年度)」 ・厚生労働省「2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況 2 各種世帯の所得等の状況」
石上 ユウキ