暖冬だったからこそ?なだれに注意! 3月に入り全国で相次ぐなだれ災害の原因は... 最近の「寒の戻り」でまた危険な状態となっているおそれも【MBSお天気通信】
この冬は暖冬で、降雪量は全国的に平年より少なくなりましたが、油断できないのが「なだれ災害」です。むしろ暖冬であったが故に、なだれが起こりやすい状況になっている可能性もあるといいます。また、「春分の日」ごろは再び強い「寒の戻り」となったため、危険性が高まっているおそれもあります。 【画像を見る】表層なだれが起きるメカニズム
3月に入り相次ぐなだれ 各地で死者・行方不明者も
3月は全国各地でなだれ災害が相次ぎました。2日(土)には鳥取県の大山や長野県の北アルプスで、北海道では3日(日)に利尻山で、11日(月)に羊蹄山でなだれがおき、死者・行方不明者やけが人が出ています。いずれも登山中やバックカントリースキー時に事故が起きました。なだれの危険箇所は全国で2万か所以上もあるといわれます。また、ひとたびなだれが起きると、最大で時速200kmものスピードで襲い掛かってくるため、身を守るのは非常に困難です。
暖冬で気温は激しくアップダウン なだれが起きやすい状況に
この冬は、期間を総じてみると気温が全国的にかなり高い“暖冬”となりましたが、実際は気温のアップダウンがかなり大きい冬でした。実感としても、季節外れの暖かさが続いたかと思えば、急に厳しい寒さがやってきて体にこたえたという方が多いのではないでしょうか。実は、このことが原因でなだれ災害が起こりやすくなっていることが考えられるのです。 防災科学技術研究所・雪氷防災研究センターの中村一樹センター長に話をうかがったところ、最近の相次ぐなだれ災害の理由として2つのポイントが考えられるといいます。 【1】降り積もった雪の質が変化すること 【2】低気圧の通過で質の違う雪が降ること 【1】の「降り積もった雪の質が変化する」とは、積雪の表面が日ざしや昼夜の気温の変化に伴って、日中はゆるんだり、また夜に凝結したりを繰り返して、滑りやすい不安定な層(弱層)が形成されることをいいます。霜の結晶が発達した「しもざらめ雪」と呼ばれる雪に変化した層の上に新たに雪が降り積もると、その不安定な層の上に積もった雪はすべり落ちやすくなってしまうのです。 この冬は冬型の気圧配置が長続きせず、雪が積もってはしばらく期間が空き、また降り積もるということが繰り返されたため、弱層が形成されやすくなってしまったおそれがあります。そして、この冬型の気圧配置が長続きしないということが、2つ目のポイントにも関係してきます。