球界大御所は巨人田口とヤクルト広岡の電撃“格差トレード”をどう見たか…「ヤクルトは順位を4位に上げる可能性が出てきた」
「両チームがそれぞれの選手の力量をどう判断したのか。真相はわからないが、先発候補の名前がスンナリ出てこないヤクルトがどうしても投手を補強したかったのはわかる。一方の巨人は、田口と広岡の将来性も含めた可能性を天秤にかけて決断したのだろう。どこのチームもライバルチームを勝たせようなんて考えるところはない。敵に塩を送るというよりも、田口を球団内で燻らせておくくらいならば、他所でチャンスを与えてやった方がいいと見て、広岡の将来性を買ったのだろう。ヤクルトは、このトレードを成立させるまでは、どう考えても今季のセ・リーグの最下位予想チーム。巨人の判断に、その分析もあったのかもしれない。約5000万円の年俸差があるそうだが、こういうトレードはメジャーではよくあるパターン。このトレードの成否は行った先での起用法、育成方法次第になると思う」 2013年のドラフト3位で広島新庄高から巨人に入団した田口は3年目の2016年に防御率2.72、10勝10敗、翌2017年には13勝4敗の成績を残した。2018年は故障などもあり2勝止まりだったが、2019年は中継ぎとして復活。55試合(うち2試合先発)に登板し1S14Hで優勝に貢献した。昨年は開幕からローテーに入ったが、終盤は中継ぎに回り、26試合(うち先発14試合)に登板、防御率4.63、5勝7敗1S2Hの成績だった。今春キャンプは、右太もも裏の違和感で序盤に離脱したが、すでに完治しているという。 長いシーズンを考慮すると投手層は厚ければ厚いほどいい。だが出遅れた田口は故障歴もあり当面の“余剰戦力”と判断されたのだろう。 ヤクルトは先発の駒が足りずに困っていた。エースの”ライアン”小川泰弘のFA流出を食い止めて開幕投手に指名されたが、“最年長”41歳の石川雅規を追い抜く先発候補が出てきていない。現状では2番手が石川で、高梨裕稔、スアレスと続く。元AKBのアイドルと結婚した新婚の高橋奎二、昨年のルーキー吉田大喜、原樹理、先発に転向する左腕の寺島成輝やドラフト1位の木澤尚文(慶大)、2位の山野太一(東北福祉大)に期待をしているが、キャンプ、練習試合では、まだアピール不足。元ソフトバンクのバンデンハークを緊急補強したが、新型コロナ禍の入国制限で、来日のメドは立たず、同じく新外国人として契約しているサイスニードも開幕に間に合いそうにない。 広岡氏は、「田口が1年を通じて働けるかどうかだが、昨年あたりから少しスリムに見え始めた。剛球派ではないが、キレのあるボールがあり調整次第では先発で通用する。実際、2桁勝った実績もある。高津監督の起用法次第では、このトレードで最下位予想のチームが4位まで順位を上げる可能性が出てきたと思う」と独特の“辛口表現”で期待を寄せる。