【アイスホッケー】「41歳、GKとして日々うまくなっている。 その実感があるうちは、やめたくないな」福藤豊(HC栃木日光アイスバックス)全日本アイスホッケー選手権MVPインタビュー
全日本選手権では2回戦から登場、3試合とも苦しい戦いを勝ち抜いたアイスバックス。チームは4年ぶり3度目の優勝を飾ったが、その中でベテランらしく、ピンチを1つひとつ摘み取っていったのがゴーリーの福藤豊だ(自身は準決勝、決勝に出場)。この大会のMVPに輝いた福藤に、全日本選手権での戦いぶりを、また選手会の会長としてアイスホッケーの現状をどう思っているか聞いてみた。 【プレー写真3枚】全日本アイスホッケー選手権の福藤豊(HC栃木日光アイスバックス) チームにとって、何が足りないのか 大会前2週間でしっかり追い込めた ――まずは準決勝の話からいきましょう。レッドイーグルス北海道に1ピリ11分に先制され、しかし3分後の14分に大椋舞人選手のゴールで追いつきました。そこから3ピリのタイムアップまで、双方とも得点がありませんでしたね。何を考え、はたまた何を大事にしながら、福藤選手はゴールの前に立っていたのでしょう。 福藤 全日本選手権って、僅差になる試合が多いんです。特に準決勝ですね。1点の重みというのは自分自身、理解していたので、とにかく「変な失点」だけは取られたくないという緊張感は持っていました。イージー・ショットで入れられちゃうと、チームに悪い流れが来てしまうんですよ。「そういう失点だけは避けなければ」とは思っていました。 ――普段リーグで対戦する相手と、短期決戦で、しかも勝ったまま大会を終えなければならないのが全日本という大会です。この大会独自の戦い方があるとすれば何でしょうか。 福藤 レギュラーシーズンの対戦成績はいったん切り離して考えなければならないのですが、レッドイーグルスが得点力、パワープレーの成功率も上位ということは、もう間違いないわけです。僕自身もそうですが、相手に付き合って反則してしまう…そういうのは絶対にやめようというのはチームの意識として持っていました。リーグでの戦いを見ているとわかると思うんですが、バックスは反則が多いんですよ。チーム自体が、高い集中力を持っていたというのはあります。 ――2ピリのシュート数はバックス6本に対して相手が16本。3ピリも5本:11本と耐える時間帯が長かったのですが、ゴール前でひとり落ち着いている福藤さんを見て、チームも安心感を取り戻したのではないですか。 福藤 僕というより、全日本の前の週末、バックスは試合が組まれていなくて、だから大会前の2週間はしっかり追い込めたんです。チームにとって何が足りないのかをしっかり見つめ直した、強度の高い2週間を過ごせたのが大会を通じて大きかったと思います。 ――結局、試合は延長まで行きましたが、レッドイーグルスのヘッドマンパスが通らず、アイシングになった。バックスは敵陣でのフェイスオフを生かし、寺尾勇利選手の個人技で決勝点を決めました(スコアは2対1)。 福藤 勇利自身、この大会前はすごく悩んでいたんですよね。 ――確かに、寺尾選手は12月上旬の段階で、リーグの得点は、意外なことにゼロでした。 福藤 そうなんです。彼も、全日本選手権に賭ける思いというのが強かった。これまでバックスは(今大会を除いて)2度優勝しているんですが、勇利は1度目はケガで欠場していて、2度目は海外でプレーしてチームにいなかったんです。普段、チームメートとして接していて、彼の努力は誰もが認めている。僕も久々に痺れましたよ、準決勝は。