【アイスホッケー】「41歳、GKとして日々うまくなっている。 その実感があるうちは、やめたくないな」福藤豊(HC栃木日光アイスバックス)全日本アイスホッケー選手権MVPインタビュー
うれしかったワイルズの全日本の健闘 信頼関係を築き上げてリーグに参戦を ――今年の全日本選手権には、連盟推薦枠で釧路市の「北海道ワイルズ」が出場しました。優勝したバックスが「大会の主役」であることに間違いはないのですが、一方で、ワイルズも大会を盛り上げた殊勲者ということがいえると思います(GWSの結果、ベスト4)。今シーズンは福藤選手の故郷でもある釧路のトップチームがアジアリーグに参加できませんでしたが、「日本アイスホッケー選手会」の会長として、悩み多きシーズンになっているのではないですか。 福藤 まずは公式戦に出る機会のなかったワイルズの選手たちが、全日本に出るチャンスができたのがうれしかったですね。そして、そこでワイルズは十分、大会を盛り上げてくれた。そこは、彼らのことを称えないといけないと思っています。ワイルズの「全日本選手権」という大会に賭けてきた思いというのは、他のチームからすると、はかり知れないものがあると思いますから。 ――福藤選手はワイルズの齋藤兄弟とも、過去にはバックスで、そしてやはり景雲中学校でも一緒にプレーしています。 福藤 オーバータイムでGKを上げるというのは、もともと(監督の)毅さんがやっていたんですよ。お客さんを楽しませようとしているのがよくわかったし、本当にワイルズの健闘ぶりには拍手を送りたくなりました。だからこそ、今後、ワイルズは地元との信頼関係をしっかり築き上げてほしいというのはありますね。そして来年は、しっかりとリーグに参戦してきてほしいと思います。 ――さて福藤選手は、昨年の全日本選手権ではケガで試合出場はかないませんでしたが、その時のMVPは橋本三千雄選手(フリーブレイズ、昨年は45歳)でした。ともに40歳を超えるゴーリーが、2年連続でMVPを受賞するのは珍しいことだと思います。同じ栃木・宇都宮住まいで、しかもお子さんの学校が同じという2人。在籍年度は被っていませんが、バックスの先輩にあたる橋本選手のことを福藤選手はどう思っているのでしょう。 福藤 運動会で三千雄さんと一緒に出たこともありましたね(笑)。この全日本のあと、「おめでとう」と声を掛けてもらったのですが、この年になって今の自分よりも年上の人ってものすごく尊敬します。でも、あの人、ちょっと異常すぎるんですよ。身体能力もすごいし、体のケアもちゃんとやっている。第一、三千雄さんはケガをしないんです。もともと、能力が人並み外れているんだと思いますね。三千雄さんと同じ年まで現役を続ける可能性は…う~ん、どうですかねえ(笑)。でも最近は、「自分の背番号までは頑張ってみようかな」とは思っているんですけどね。 福藤 豊(HC栃木日光アイスバックス) 1982年9月17日生まれ。北海道釧路市出身。美原小、景雲中から宮城の東北高に進み、2000年に日本リーグのコクド入社。2002-2003にECHLシンシナティ、2004-2005にECHLベーカーズフィールドでプレーし、ロサンゼルス・キングスにドラフト指名を受ける。2005-2006にAHLマンチェスター、ECHLレディングでプレーし、2006-2007途中にロサンゼルスで日本人として初のNHLに出場。その後、ECHLとオランダでプレーし、2010-2011シーズンにアイスバックスへ移籍する。2014-2015はオランダに戻るが、翌年に日光へ復帰。日本代表としても活躍している。185センチ・78キロ、背番号は「44」。
山口真一