『光る君へ』で道長と対立<三条天皇>。和泉式部を愛人にした弟二人は早逝。すけ子と四男二女をもうけ、18歳下の妍子とも結婚を…「地味な東宮」の即位が宮廷に何をもたらしたか
◆居貞の即位がもたらしたもの 一条天皇はその晩年に譲位の意向を漏らしていましたが、まだ30代に入ったばかり。まさかそんなに早くと、道長も思ったことでしょう。 そしてむしろ道長が気にしていたのは一条の子供達、定子の子・敦康と彰子の子・敦成のどちらを嫡子にするか、でした。 ただし、道長に抜かりはありません。一条天皇が譲位しても院政を敷き、上皇と天皇をコントロールできる仕組みを用意していました。それが次女(母は彰子と同じ源倫子)の妍子と居貞の結婚です。 居貞と妍子はいとこで、年は18歳差、親子ほども離れていました。とはいえ、その結婚で居貞も道長ファミリーに入ったことになっていました。 一方で、居貞の即位は宮廷に大きな変化をもたらします。 まず、親王四人(居貞、敦康、敦成、敦良)に内親王一人(脩子)だったのが、さらに親王四人(敦明、敦儀、敦平、師明)に内親王二人(当子、ただ子<ただの字は示部に是>)が増え、しかもこのグループは道長と直接の血縁関係がなく、かつ多数派になってしまったのです。 道長以外の有力な勢力が、このうちの誰かと結びつけば穏やかではありません。道長は敦康だけではなく、この子供達にも目を配らなければならなくなったのです。 このグループを取り込むのか、排除するのか…。 こうして道長と居貞親王、いや三条天皇の駆け引きが始まります。
榎村寛之
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