確定申告をしたことがありません。会社員の場合、どのくらい節税できるものなのでしょうか?
会社員は、原則勤め先による年末調整で所得税を納めるため、基本的に確定申告は必要ありません。ただし、あえて確定申告を行うことで、節税につながる場合があります。 では、会社員が確定申告を利用して行う節税方法には、どのようなものがあるのでしょうか。また、どのくらいの節税効果が期待できるのでしょうか。会社員の確定申告の概要とともに解説します。
会社員の確定申告とは
確定申告は、1年間(1月1日~12月31日まで)の間に得た所得額の税金とそれに対する所得税などの額を計算して、確定させる手続きです。経費などを引いた所得額が20万円を超える場合は、原則確定申告が必要になります。 ただし、会社員などの給与所得者の所得税は、勤務先により毎月源泉徴収されています。そのうえで、会社が年末に税額を計算(年末調整)して申告するため、原則として確定申告は必要ありません。ただし、給与による収入や、給与所得と退職所得が一定額を超えているといった場合などには、確定申告が必要です。 また、義務ではありませんが、所得控除を受けるために行う確定申告もあります。こちらは、確定申告を行うことで、所得控除による一定の節税効果が期待できるでしょう。なお、確定申告によって受けられる所得控除には、「職務」によるものと「個人」によるものがあります。
「職務」による所得控除
職務による所得控除には、給与所得者の特定支出控除があります。当控除は、その年の特定支出額の合計が、給与所得控除額の2分の1(最高125万円)超えた場合に、その超過分を給与所得控除後の所得額から差し引ける制度です。 ◆特定支出とは 給与所得者の職務に関する支出のうち、一定の条件を満たしているものを「特定支出」といいます。特定支出は、次の7点です。 (1)一般的な通勤者として通常必要と認められる通勤のための支出(通勤費) (2)勤務場所を離れて職務を行うための旅費として通常必要な支出(職務上の旅費) (3)転勤に伴う転居に通常必要と認められる支出(転居費) (4)職務に直接必要な技能や知識を得ることを目的とした研修のための支出(研修費) (5)職務に直接必要な資格(士業も含む)の取得のための支出(資格取得費) (6)単身赴任者などが、その勤務地の仮宅と本宅の間の往復のために通常必要な支出(帰宅旅費) (7)職務に必要と給与の支払者に認められた、図書、制服、交際などの費用(最高65万円)に必要な支出(勤務必要経費) ◆計算例 給与(年収)が360万円の場合に給与所得控除額が116万円だったとします。その年の特定支出額の合計が、給与所得控除額の2分の1(最高125万円)超えた場合に、その超過分を給与所得控除後の所得額から差し引けるので、特定支出額が年58万円を超えた場合に、その超過分が控除されます。