既存メディアの存在感の低下を感じさせた「選挙報道」 対SNSには優位性を最大限活用した「取材量と信頼性」しかない
【テレビ用語の基礎知識】 今回の衆議選、各局の選挙報道っぷりはどうかな? と注目していたのですが、意外といろいろ報道してましたよね。驚きました。 【写真】「もっと下に…下に」“半ケツ”状態でビラ配りをするボランティア女性 最近は選挙期間に入ると、いきなり選挙関連のニュースが少なくなるというおかしなことになっていましたけど、今回は注目選挙区の話とか掘り下げてやっていて、良かったと思います。 ただこれも、よく考えてみると「自民党が弱っていたから」という気もします。安倍晋三元首相が健在だった頃のように「何かやったら苦言を呈されるかも」という状況だったら、きっとこんなに報道できなかっただろうなと思うと、しょせん強い者相手には何も言えないんだろうな、と日本のテレビ局の限界を感じます。情けないですね。 あと、今回の総選挙では国民民主党の躍進といい、参政党や日本保守党が議席を獲得したことといい、「SNSで盛り上がりを作れたものが勝つ選挙」になっていることを実感しました。そして与党大敗の決定打となった「非公認にも2000万円」の報道がマスコミではなく日本共産党の機関紙「赤旗」発だったことも、選挙における既存メディアの存在感の低下を感じさせましたよね。 じゃあ今後テレビ局はどのような選挙報道をしていくべきなのか? ということを考えてしまいますが、やはり「取材力を最大限活用した圧倒的情報量」と「プロが取材していることによる中立性と信頼性」をウリにしていくしかないんでしょうね。 SNS主導の流れは止まらないでしょうが、現状ではSNSはトンデモ情報や悪意ある噓もあふれています。となれば、有権者、特に若い有権者がテレビの選挙報道を見るモチベーションは「取材量と信頼性」しかないと思いますから、オールドメディアが持つ優位性を最大限活用するしか勝ち目はない。 前から思うんですが、もうそろそろテレビと新聞が融合して一体的に選挙報道をするべき時代に来てるんじゃないでしょうか。どうせ現在でも出口調査とか当確とか系列の新聞とテレビが一緒にやってるわけですし、なら、もう完全に統合して圧倒的な記者数を投入して、テレビとサイトと紙面を連動して報道すればいいのではないかと思ってしまいます。 あるいは放送局同士が手を組んでもいいのかもしれません。2つの系列各局が一緒にやればそれなりの記者数になりますもんね。