「歌を忘れたカナリア」ならぬ「前に出る相撲を忘れた琴桜」詰めが甘く土俵際で逆転負け…元大関・琴風の目
◆大相撲 ▽夏場所14日目(25日、東京・両国国技館) 関脇・阿炎が2022年九州場所以来、2度目の賜杯に望みをつないだ。3敗でトップタイだった大関・琴桜を土俵際からの逆転で押し出し、4敗を死守した。千秋楽は単独先頭で3敗の新小結・大の里との一番が組まれた。再び首位を引きずり降ろし、大逆転Vを狙う。賜杯の行方は3敗の大の里、4敗の琴桜、大関・豊昇龍、阿炎、平幕の大栄翔に絞られた。 【写真】琴桜が締め込みに忍ばせていた宝物 * * * * * 琴桜よ、ここで負けるのか―。私は先代のしこ名を名乗った最初の場所で初優勝という夢物語を期待していただけに、再び椅子から転げ落ちそうになった。 今場所の相撲内容が影響した一番だ。立ち合いから阿炎に圧力をかけて前に出た。ここで勝っていれば「会心の一番だ」と私は叫んでいた。それが土俵際での逆転負け。今場所は自分の方から攻めて勝った一番がめっきり少なかった。そのため勝ち方を忘れてしまって、詰めが甘くなったといえる。土俵際で伸ばしたかいな(腕)も余裕がなく簡単にたぐられてしまった。「歌を忘れたカナリア」ならぬ「前に出る相撲を忘れた琴桜」の一番だ。 まだ4敗。わずかだがチャンスは残っている。可能性がある限り前を向いて土俵に上がるのが大関の責任というものだ。(元大関・琴風、スポーツ報知評論家)
報知新聞社