10・11国際ガールズ・デー 「女性はかくあるべし」の固定観念から女子を解放
先人のバトンを引き継ぐ
Ladyknows賞を受賞した〝すもも〟さんは、保育職場でアルバイトする大学院生。障害児からの性的接触について、女性職員だけに「自衛」が求められることに疑義を抱き、声を発して改善につなげたことを描いた。同賞の看護師の〝とかげくん〟は、認知症の患者への身体拘束について、「看護師がそばにいる時だけでも外しませんか」と会議で提案し、実現させた。「新人で未熟な私の声が患者の未来を変えた」とつづる。選定に携わったエッセイ投稿メディア「かがみよかがみ」の伊藤あかり編集長は、「集まったエッセイの共通点は動機。『女の子だから声をあげにくいという思いを後輩たちにさせてはいけない。私たちで終わりにしたい』ということだと思いました」と講評した。 動画部門の「プラン・ガールズ・アワード」は、高校3年生のくぼここなさん。体育祭である組の団長に選ばれ、「みんなに指示を出していいのか」と悩みながら挑戦し、優勝を果たした。「まわりの人に『やってみたら』と言われたことが自信につながった」とくぼさんは振り返った。 イベント会場の外では、国内外のジェンダー・ギャップの状況、日本の男女平等の歩み、歌人の与謝野晶子や米最高裁判事ルース・ベイダー・ギンズバーグなど女性の権利を訴えた偉人の言葉などを展示。多くの人が見入っていた。 制作は、クリエーティブディレクターで広告会社arcaを経営する辻愛沙子氏(28歳)。辻氏は「女性が投票することも働くことも当たり前の時代。そんな当たり前も、当たり前でない時代に誰かが築いてきた。今も残るジェンダー・ギャップに絶望する女の子たちに、先人のバトンを引き継ぎ、次に変えるのは自分たちと思ってほしいと考えました」と制作の意図を話した。 会場の若々しさに少し疎外感を抱いたが、先人から未来へと繋ぐ一員であらねばと再認識した。
山田道子・ライター