阪神・藤川球児監督が秘密兵器導入「僕は高めの投手でしたけど、そういう投手って、今いなくて…」門別啓人らも体験
阪神秋季キャンプ(1日、高知・安芸)秘密兵器が出たぁ~! 阪神・藤川球児新監督(44)が初日から火の玉投手の育成に乗り出した。ブルペンで捕手前にテープを張らせ、高めへの意識を徹底するように要望。自身も得意としたコースへの投球術を磨かせ、V奪回への戦力に育て上げる。来季が高卒3年目の門別啓人投手(20)も特訓の効果を実感し、成長の糧にすることを誓った。 【写真】豪快なフォームから火の玉ストレートを投げる藤川 浮き上がるような球筋で胸元を突き、強打者たちを次々と料理してきた。火の玉直球に近づくためのヒントが秋季キャンプ初日から導入された。藤川新監督の要望でブルペンの捕手前に2本のテープが張られる。ストライクゾーンの高低部分のみ。これで威力抜群の球を手にしてもらう。 「投げ込むときにどういうことを意識して投げるか、高めなのか低めなのかはすごく大事。特に、僕は高めの投手でしたけど、そういう投手って、今いなくて…。(一般的には)低いところに集められる投手が優れていて。コーチと相談した上で、僕からお願いしたんですけど」 地元・高知に凱旋しての初日。全体練習開始前から雨が降り続いたが、歓迎セレモニーでは「来シーズン優勝を奪還できるように戦っていきます」とスピーチし、温かい拍手に包まれた。練習メニューは室内中心となったがナインはハツラツとした様子。新指揮官も精力的に動いた。午前中はブルペンで投球練習を1時間半以上、チェック。その上で矯正テープを投球レーンの3カ所にまたがる形で用意した。 「あんなことあったな、あんな練習をしてみようという気づきにもなる」 藤川監督は現役時代、2006年の球宴でカブレラ(西武)に直球を宣言。空振り三振に斬ったように分かっていても打てない球で勝負してきた。投手は低めに投げることが基本と昔から言われ、変化球も全盛の時代に突入しているが、米大リーグでは今永(カブス)のライジング・ファストボールが高評価されるように時代とともに変わってきた。置きに行っては意味がない。火の玉に達するのは容易ではないが、腕を振ることこそ若手に求められている。 さっそく火の玉講座を受講したのが来季高卒3年目の門別だった。今季はブレークを期待されながらも5試合の登板で0勝2敗、防御率4・50にとどまった。「高さとかは分かりやすい。意識しても高く浮いちゃうときはありましたけど、しっかり間に抑えられた」。打者からすればベルトよりもやや高めで、思わずバットが出てしまうゾーン。そのウイニングショットをマスターすることで変化球も生きてくる。