3年前フライングの村竹ラシッド、今季世界6位の好記録でリベンジ…「世界へ逆襲する」
陸上・日本選手権最終日(30日・新潟デンカビッグスワンスタジアム=読売新聞社後援)――パリ五輪代表選考会を兼ねて行われ、男子110メートル障害は村竹ラシッド(JAL)が13秒07で初優勝、女子100メートル障害は日本記録保持者の福部真子(日本建設工業)が12秒86で制し、共に初の五輪出場を決めた。女子走り幅跳びは秦澄美鈴(すみれ)(住友電工)が6メートル56で4連覇を果たし、初の五輪代表に決定。男子100メートルは坂井隆一郎(大阪ガス)が10秒13で2連覇した。
素早い脚さばき 後半一気
パリへの切符をつかんだ男子110メートル障害の村竹は、トラックに両膝をついて天を見上げた。「この3年間、自分の無力さ、世界との壁、色々なものが自分を苦しめた。やっとそれから解放されてホッとしている」と、感無量の表情を浮かべた。
東京五輪代表選考会だった2021年の日本選手権決勝で、フライングのため失格となり、代表入りを逃した。補欠で日本選手団に同行し、無観客の国立競技場で試合を観戦。五輪の雰囲気を肌で感じ、「絶対にパリには出てやる」と、トレーニングに励んできた。
千葉県出身で父親はトーゴ出身。身長1メートル79は、世界の舞台では小柄に見える。13秒04の日本記録を共に持っている順大の先輩、泉谷駿介(住友電工)と同様、ハードル間の素早い脚さばきを磨いてきた。この日も6台目を越えた辺りでスーッと後続を引き離したように、後半の伸びが持ち味だ。
13秒07は今季世界6位に相当する好タイム。22年の世界選手権では予選敗退と壁にはね返されたが、五輪の舞台では成長した姿を見せるつもりだ。
「パリでは決勝に進出して、メダル争いにも加わりたい。この3年間積み重ねてきたものを糧に、世界へ逆襲できたら」。22歳の伸び盛りのハードラーは、力強く誓った。(田上幸広)
福部も初切符…女子100障害
昨年は涙に暮れた選考会で、「リベンジ達成」と笑顔がはじけた。女子100メートル障害決勝を福部が制し、初の五輪切符をつかんだ。