産業用「ヒューマノイドロボット」が工場や物流現場で実用段階へ
2023年の暮れには、第2世代となってかなり見栄えが良くなった「Optimus Gen 2」に開発が移っている。ただ、第2世代とはいっても、Optimusはまだ実用化には至っていない。 Optimusは、テスラが開発する自動運転技術であるFSD(Full Self-Driving)のソフトウェアを活用し、周囲の環境認識と意思決定能力を必要とする複雑なタスクを実行できるように設計が行われているという。
マスク氏によると、Optimusは2025年初頭までに小規模な生産を開始し、同年末までに数千台をテスラの工場に配備する計画だという。そして2026年までには生産量を大きく増加させ外部の顧客にも提供することで、普及への道を開くとともに、高価な部品のコストダウンも進めることを目指しているという。マスク氏の言うスケジュールは数年単位で遅れるのが通例だが、いつか実現してほしい話だ。 Boston Dynamics『Atlas』
Boston Dynamicsが開発してきたAtlasは、その運動能力において、ヒューマノイドの頂点に立っていると言っても過言ではない。敏捷性、機動性が非常に高く、何かにぶつかったりつまずいたりしても瞬時に体勢を立て直すことができるうえ、プログラムされた動作ながらパルクールや後方宙返り、ジャズダンスなどをこなす身軽さを備えている。 Boston Dynamicsは、もともとは米国防高等研究計画局(DARPA)による防衛計画の一環としてロボットの開発を手がけていた。自動車では到達できないような悪路での物資運搬のために、内燃機関と油圧で動作する四足歩行ロボットなどを開発していた。
Atlasも、人と同じように二足歩行でさまざまな作業を行えるように考慮されている、そして誰かにぶつかったり、突き飛ばされたりしても、自らしっかりと身体のバランスをとり、起立状態を維持できる。 なお、油圧式のAtlasは2024年はじめに開発を終了しており、現在は電動アクチュエーターを採用する2代目Atlasの開発が行われている。完全電動モデルへの移行は、Atlasの進化において極めて重要な進展だ。新設計となった新型Atlasは、深度センサーとリアルタイム知覚技術で周囲環境を認識する能力を備え、各関節に人間を超える可動域を持たせることで、地面に横たわった状態から誰の手も借りずに立ち上がることも可能になった。