侍ジャパンの戦いを鹿取義隆さんが占う、ユーティリティーそろう内野の強み…13日にプレミア12初戦
「大砲」不在も、積極性のある上位打線
野手はユーティリティープレーヤー(複数のポジションをこなせる選手)がそろった。誰でも、どこでも守れ、特に内野はほぼ全員がそういう状態で、バランスがかなりいい。打順を組むときにも左を並べる、あるいは右左ジグザグにするなど、組み合わせが広がる。今までやりたくても出来なかったことだ。どちらかと言えば専門職の方が多かったが、今年のチームは違う。内野のバランスで見れば、歴代の侍ジャパンのメンバーの中でもかなり強いチームだ。
直前の辞退者もあって、いわゆる「大砲」タイプがいない。強化試合の4番には牧秀悟(DeNA)と森下翔太(阪神)が座ったが、今回のチームに関しては誰が入ってもいい。強いチームは1、2、3番が良ければ後がつながっていく。所属チームではクリーンアップを張って、ホームランを打てる選手がそろっているので、4番はその時の状況と選手の調子で決めていけばいい。上位の1番桑原将志(DeNA)、2番小園海斗(広島)、3番辰己涼介(楽天)は強化試合2試合で固定された。3人とも、見るバッターではなくて初球から積極的に行くタイプなので、いい打順だと思う。
国際大会では絶対に必要な「足の切り札」
追加招集された清宮幸太郎(日本ハム)は、内野も外野も指名打者(DH)もでき、使い勝手のいい選手だ。相手先発投手のデータを見て左打線が良いとなればチャンスもある。
佐野恵太(DeNA)もDH候補だが、同じ左打者でどちらの守備力がいいのか、ユーティリティーの多さを生かしてDHもうまく使えれば、打線はさらに活性化するだろう。
そして「ポスト周東佑京(ソフトバンク)」として入った足のスペシャリスト、五十幡亮汰(日本ハム)だ。強化試合では代走で出て、やや強引な面もあったが、二盗、三盗を立て続けに決めて、内野ゴロで1点をもぎ取った。外国の投手はクイックがうまくなく、隙があるからこういう国際大会では足の切り札は絶対に必要だ。
「6分の2」と狭き門の1次ラウンド…失点抑えたい
大会方式が変わって、1次ラウンドでは前回は3グループ各4チームから上位2チームが2次ラウンドに進んだが、今大会では2グループ6チームから各2チームとなった。短期決戦では何が起きるか分からず、メキシコで始まったA組ではアメリカが2敗目を喫した。どのチームが勝ってもおかしくない。B組の日本も2敗するとしんどくなるし、同勝敗で並ぶとTQB(トータル・クオリティー・バランス)(※)の争いになるので、なるべく失点を少なくすることが肝要だ。日本は投手力が良いので、そのストロングポイントを生かして優位に立ちたい。