元伊代表トッティの現役続行J2東京ヴェルディ入りの可能性が残った!
ヴェルディが出した今回のオファーは、トッティ自身が日本でのプレーに興味をもっていることを、羽生社長が懇意にしている知人から伝え聞いたことが発端だった。チームスポンサーの後押しを受けて、トッティ側に対して失礼のない条件も用意して提示した。 イギリス紙『サン』などは、トッティ側が年俸300万ユーロ(約3億7500万円)を要求したことで交渉が暗礁に乗り上げたと報じたが、羽生社長は条件面での心配はないと強調。一部で報じられた、100万ユーロ(約1億2500万円)を大きく上回る金額を提示したことを示唆している。 「Jリーグにクラブライセンス制度があることは、私自身、重々承知しているので。お金のことで(債務超過などに陥る)心配があったら、トッティを取りにはいきません」 トッティ自身、幼少期にイタリアでもテレビアニメが放映された人気漫画『キャプテン翼』の大ファンとなり、登場人物が放つ必殺シュートの真似をして足首を骨折したという逸話もある。 心の奥底に脈打つ日本への親近感が上回り、ヴェルディよりも条件のいい2チームが排除され、ローマのフロント入りとの二択に絞られたとしたら――可能性は決してゼロではないだろう。 今月に入ってからは、現役時代はトッティや中田英寿とともに2000‐01シーズンのセリエAを制覇し、来シーズンからはローマの指揮を執るエウゼビオ・ディ・フランチェスコ新監督が、イタリアのメディア上で盟友の今後について言及している。 「ほぼ間違いなく彼はクラブの役員となる。最近も彼とそういう話をした。彼が近くにいてくれるのは非常に嬉しいことだ」 もっとも、ヴェルディ関係者によれば、こうした動きはトッティの日本行きに対するネガティブキャンペーンの一環だという。トッティ自身はリーグ最終戦を最後に一貫して沈黙を守り、従ってフランチェスコ監督が言及した「彼とそういう話をした」も、実は根も葉もないこととされている。 多額の負債を抱えるローマは今オフに入り、リーグ戦で2位に入る原動力になったエジプト代表FWモハメド・サラー(現リバプール)をはじめとする力を続々と放出。戦力ダウンに対するサポーターの怒りを、トッティのフロント入りを喧伝することでそらしたい狙いもある。 こうした思惑に対して、ローマへの愛を貫いてきたトッティが嫌悪感を覚えるおそれもある。いずれにしても待つしかない状況に、羽生社長も苦笑いするしかなかった。 「トッティが一人でどこかに旅行に行って、そこで最後は決めたいと言っているみたいですね。本人もかなり悩んでいるんじゃないでしょうか。とにかく(獲得を)祈っています。Jリーグ全体のためにもなるので」 Jリーグの第2登録期間は今月21日から8月18日までとなっている。実際にトッティが日本行きを決断し、最速で契約や手続きが進めば、カマタマーレ讃岐をホームの味の素スタジアム迎える22日のJ2第24節から出場が可能となる。 (文責・藤江直人/スポーツライター)