温暖化は日本狙い撃ち? 猛暑・豪雨が普通の時代、「四季から二季へ」
高温海水も日本周辺で大発生
海も日本を狙い撃っている。温暖化で世界中の海水温が急上昇しているが、その中で日本近海は有数の上昇を見せているのだ。水温はもともと変化しにくく、海面の温度は秋めいてきても下がらない。海風は涼しいはずだが、秋なのに高温で湿って体感的にも暑い。 南から太平洋側を北上する温かい海流・黒潮も今、大きく変化している。フィリピン沖から南西諸島、高知沖、紀伊半島沖を通って、太平洋側に東に抜けるのが従来のルートだったが、今は高知沖で南に蛇行してから再び北上し、静岡県辺りで日本にぶつかる。そして千葉県の付近、東北の海岸に沿って北上し、岩手県から北海道のすぐ南辺りまで進む。
岩手や北海道南岸まで北上する黒潮は観測開始以来の変化だ。しかもそれが2年以上続いている。東北や北海道周辺の海面水温は平年よりも5度以上高い。海面の温度は平年より2度高くても異常なので、今はかなりの異常事態だ。 私は「スーパージャイアント黒潮蛇行」と名付けても良いほどの状況だと説明している。黒潮から分かれて流れる対馬暖流が流入する日本海も高温で、日本は異常高温の海にサンドイッチのように挟まれている。だから夏の猛暑と秋の残暑が厳しいのだ。
異常高温の海水が豪雨に拍車
能登半島豪雨をはじめ、日本では未曽有の豪雨が頻発している。その理由は海洋の温暖化だ。海水温上昇が、水蒸気の極端な増加を起こして雲のパワーが増し、豪雨をもたらす。2024年秋のスペイン豪雨の原因も、スペインの南、地中海の水温の異常高温だ。 水温が高い一因は、温暖化に伴う猛暑。猛暑は豪雨へと連鎖する。だから日本のどこでも未曽有の豪雨が起こりうる。能登半島豪雨を「自然災害」として哀れむのは偽善だろう。人類は雨量増加に加担した「共犯」と言っても過言ではない。これらの「災害」を防ぐにはどうすればいいか。答えは自明。二酸化炭素を減らすことだ。
冬の豪雪も温暖化が原因
「冬に寒波や豪雪が起きている」と温暖化を否定しようとする人もいる。確かに近年、高速道路や主要国道の交通がまひしたり、家屋に大きな被害が及んだりするほどの豪雪が頻発している。実は日本では大雪で命を落とす人の数は、風水害よりも多くなっている。だが、これも暖冬傾向の気象状態によって、強烈寒波やドカ雪が発生しやすくなっている。 豪雪の主因も激しくなった偏西風の蛇行にある。ただしそのパターンは夏の反対。近年の冬は中国~日本付近と北米で偏西風が南へ垂れ下がり、この蛇行が激しさを増すと、北極の寒気がユーラシア大陸と北米大陸へと分裂し、そのうちの一つが日本周辺まで大移動する。北極全体の寒気は弱まっているが、分裂した寒気は偏西風の蛇行で南下しやすくなっている。寒気は暖水の方向に進む性質があり、日本付近に来やすくなる。冬に北極寒気と暖水がぶつかる場所、それが日本なのだ。