ロシア反体制派ナワリヌイ氏死亡 プーチン氏に「忖度して殺害」の可能性も
周囲の人間が忖度して殺害、拷問がいきすぎたことによる死亡の可能性も
廣瀬)プーチン大統領が手を出さなければ、反体制派としての脅威はなかったのではないかと思います。ナワリヌイ氏は近年、選挙の度に影響力を示すようになっていて、例えば議会選挙の際にはスマート投票を呼びかけていました。とにかく「反プーチン派の人を選びましょう」という作戦です。プーチン大統領の息がかかっていない人や、なるべく野党で力を持っている人に集中して投票する。野党の人が1人でも多く当選できるようにアピールしていました。実際、それによって野党の人数が若干増えたところもあります。 飯田)野党の人数が増えた。 廣瀬)そのような組織力、人を集める力を脅威に思ったのかも知れませんが、今回の大統領選挙において、ナワリヌイ氏に何かできたかと言うと、難しかったと思います。大統領選挙でプーチン氏が圧勝するのは、誰が見ても明らかでした。今回のナワリヌイ氏の死について、もちろんプーチン大統領が直接命じた可能性は捨てきれませんが、周辺の人間が何か忖度したという説や、殺す気はなかったけれど拷問がいきすぎてしまったのではないかという説もあります。
米大統領選が今後のウクライナ情勢に大きく影響する
エコノミスト・片岡剛士)ウクライナ戦争は2年が経ち、長期化しています。長期化を見据えて今後、どんな展開になると思われますか? 廣瀬)当面は「ウクライナがどれだけ持ち堪えられるか」が焦点になると思います。アウディーイウカについても、最近、総司令官が変わったなかで、ウクライナ側から撤退を決めました。今後は「いかに守っていくか」を考え、「防戦」に力を入れる方針に変えつつあります。いまはアメリカからの支援が難しい状況にあります。EUでは一部の国を除き、まだ支援する意欲が強くあるのですが、EUが束になって支援してもアメリカ一国の支援には満たない部分もあります。まずはアメリカの動向がどうなるか、特に11月の大統領選挙の動向が強く関わってきます。また、ウクライナが支援をよりよい形で活かせるかどうか。ウクライナ国内で少しずつ囁かれている亀裂のようなものを早く埋め、一体となってロシアに立ち向かえる状況が構築できるかどうかが鍵になると思います。