【チャンピオンズC われかく戦う】レモンポップ・田中博康調教師「走らせる限りは恥ずかしい競馬をさせたくない」
今週は中京競馬場で下半期のダート王決定戦、チャンピオンズカップが行われる。昨年の覇者レモンポップ(牡6歳)を送り出す田中博康調教師(38)=美浦=を直撃した。厩舎に初のGⅠタイトルをもたらした〝ポッピー〟も、今回がいよいよラストラン。有終の美を飾らせたい─。最後の戦いを前にした胸中を聞いた。(聞き手・板津雄志) ──厩舎の看板馬がいよいよラストラン 「思い入れは深いです。2歳の頃から期待が持てる馬という感覚はありました。1年の休養もあったし、距離の壁なども含めて、いろいろ勉強になりました。海外遠征もそう。レモンポップでは2回大敗したけど、その経験はBCターフ2着のローシャムパークにつながったと思います」 ──厩舎に数々のタイトルをもたらした 「初重賞、初GⅠをもたらしてくれて、その経験は厩舎にとって本当に大きな財産です」 ──常に想像の上をいく馬 「一番は、距離の壁という先入観を打ち破ったこと。ファンの方々が思う以上に大きな課題。フェブラリーSを勝ったときですら感じていました。昨年のチャンピオンズCもやることはやったけど、さすがに不安でした。勝ったときは本当に感動しました」 ──さまざまな距離で勝ち、種牡馬としての価値も高まった 「日本において種牡馬で成功するには、長めのGⅠもひとつ勝っておくことは大事なので、チャンピオンズCを勝てたことは大きいです。昨年はフェブラリーSを勝って、南部杯も大差勝ち。(JRA賞の)最優秀ダートホースにも選ばれました。今年も1400メートルの(サンスポ賞)さきたま杯を勝ちましたし、インパクトは残せたかと」 ──普段は親しみをこめて〝ポッピー〟と呼んでいる 「僕は、厩舎の全部の馬に、自分なりのあだ名をつけて呼んでいるんです。毎朝『ポッピー、おはよう。元気?』とか、(在厩馬に)声をかけています」 ──ポッピーの普段の性格は 「そんなにかわいい性格じゃないですよ。自分のテリトリーに入ってほしくないそぶりをしますから。バリッとした強い牡馬に、かわいいとかがないことは、この6年半で分かったことですね。我の強さを持っていないと走れない」