「103万円の壁」引き上げ バイト調整61万人の雇用機会拡大で消費3000億円増も
政府が22日に閣議決定する経済対策に、年収103万円を超えると所得税が発生する「103万円の壁」の上限引き上げが盛り込まれることが20日の自民、公明、国民民主3党の協議で決まった。学生アルバイトなどがより多く働けるようになれば、個人消費が最大で3000億円強増えるとの民間試算もあり、経済効果への期待が高まる。 【表でみる】控除額を178万円に引き上げた場合の年収別減税額 103万円の壁が解消された場合、恩恵を受けるのは、親の扶養のもとでアルバイトとして働く学生らだ。大和総研の是枝俊悟主任研究員によると、親の扶養から外れないように103万円の壁を意識して、アルバイトの就業時間を調整している15~24歳の学生らは全国で約61万人に上る。こうしたアルバイト学生らは、非課税枠の上限が引き上げられれば、上限ぎりぎりまで働くとみられている。 是枝氏の試算では、所得税の非課税枠が103万円から113万円まで10万円引き上げられた場合、年間の労働時間は72時間増加する。これが61万人分になると年間で約4000万時間に相当し、受け取る賃金の総額は610億円程度増加。これを受けた個人消費の増加額は430億円程度に上るとみられている。 また非課税枠が国民民主の主張通り178万円まで75万円引き上げられた場合、個人消費を年間で最大約3190億円押し上げると試算される。 是枝氏は「世帯としての手取りが増えて、個人消費も活性化する。企業の人手不足を緩和するメリットも期待できる」と指摘している。(永田岳彦)