かつての少女たちが立ち上がったーー再建目指す「サン宝石」の敗因と、『りぼん』&『nicola』元編集長が語る魅力
半世紀にわたり少女たちに愛された「サン宝石」が、8月末に民事再生法の適用を申請した。「子どもの頃お世話になってきた、生きてくれ頼む」「セールではなく定価で買わせて」。SNSには“かつての少女”たちの声援が多数投稿された。「ひとつの時代が終わった音がした」とある出版関係者は語る。少女向け雑誌に掲載されるカタログ通販でおなじみだった。半世紀にわたり、サン宝石はなぜ少女たちに愛されてきたのか? 再建への課題は? 専務取締役や全盛期を知る雑誌の元編集長に話を聞いた。(取材・文:城リユア/撮影:千倉志野/Yahoo!ニュース オリジナル 特集編集部)
少女時代のときめきは宝石以上の価値がある
子ども向けのファンシー雑貨・アクセサリーを販売してきたサン宝石。10円ほどから購入でき、雑誌に掲載された同社の通販カタログを目を皿のようにして隅々まで友達と回し読んでいた人も多いだろう。オリジナルキャラクター・ほっぺちゃんの爆発的ヒットもあり、最盛期の売上高は42億6400万円(2013年)、通販カタログの最大会員数は160万人(2014年)にのぼった。
この夏、21億7000万円の負債を抱え民事再生法の適用を申請したことが報じられると、公式サイトでは1日の過去最高額となる800万円の売り上げがあった。かつての少女たちが“大人買い”したことが話題を呼んだ。 10月初旬からは日本初となる民事再生法適用申請中のクラウドファンディングを開始。わずか5時間で目標額を達成し、10月末日の終了時までに1200万円以上の支援金が集まった。
「きっかけは、あるファンの方からのお申し出でした。『絶対になくなってほしくないから、私のほうでクラウドファンディングを通じてお金を集めるので寄付させてもらえますか』と」 サン宝石の専務取締役・渡邊駿さん(32)はそう振り返る。「お気持ちだけありがたくいただくと同時に、こんなにもファンから愛されているのかと熱い気持ちがこみ上げてきました」 一縷(いちる)の希望を見出し、同社自身でクラウドファンディングに挑戦することにした。