ツール・ド・フランス2024有力選手プレビュー|ビッグ4がマイヨ・ジョーヌ争いを先行する
タデイ・ポガチャル
1998年のマルコ・パンターニ以来となるジロ・ツール2冠を目指すポガチャルは、ビッグ4の中では最も順調にツールを迎えた印象だ。ジロでは2位に9分56秒もの大差をつけて勝利を収め、ステージ勝利も6つと完勝。ただ何より、その走りからは「出し切ることなく」3週間を終えた感さえもあった。 ジロを終えて、少しばかりの休養を経てツールに向けたトレーニングを再開。この間UAEチームエミレーツは、ツール・ド・スイスでアダム・イェーツ(イギリス)とジョアン・アルメイダ(ポルトガル)が圧倒的な走りでワン・ツーフィニッシュ。クリテリウム・ドゥ・ドーフィネではフアン・アユソ(スペイン)が落車でリタイアしたが、大きなダメージはなくツールには間に合わせる。戦力は今大会ナンバーワンとの見方が強い。前回はポガチャルが大会終盤に大きな遅れを喫したことで、アダムに上位進出のチャンスがめぐり、最終的にポガチャルが2位、アダムが3位で総合表彰台を獲得。今回も、個々の能力を考えると複数人が表彰台をゲットしても不思議ではない。 とはいえ、最大ミッションはポガチャルのダブルツールだ。近年ではアルベルト・コンタドールやクリストファー・フルーム(現イスラエル・プレミアテック、イギリス)が挑戦するも、かなわなかったジロとツールの2冠(コンタドールは2008年にジロとブエルタ・ア・エスパーニャ、フルームは2017年にツールとブエルタで2冠)。大偉業の達成なるか、その答えはもうすぐ見えることとなる。
プリモシュ・ログリッチ
ビッグ4の中では最年長の34歳、ログリッチには全グランツール制覇がかかっている。ブエルタでは2019年から3連覇し、ジロでは昨年優勝。ほかにも東京五輪の個人TT金メダルなどビッグタイトルを数多く手にしていながら、ツールだけは頂点まで届かない。2020年大会では個人総合優勝に王手をかけながら、最終日前日の個人タイムトライアルでポガチャルに大逆転を許した経験がある。 ツール出場は2年ぶり。スーパーエースが幾人もひしめくユンボ・ヴィスマ(現ヴィスマ・リースアバイク)を離れ、新たな環境に身を置いているのもすべてツール制覇のためだ。ジャイ・ヒンドレー(オーストラリア)、アレクサンドル・ウラソフといった、本来であれば総合成績を狙えるであろうグランツールレーサーがアシストを務め、上位へ押し上げるための地盤を整えている。 ヴィンゲゴーらと同様にイツリア・バスクカントリーで落車したが、すでに傷みは癒えている。前哨戦のドーフィネで個人総合優勝し、好調さをアピール。最終日こそブレーキ気味になってヨルゲンソンの猛追を受けたが、それまでの走りは力強く、ツールに向けてもさらに仕上げていることだろう。