中国のEV成功、価格競争とテスラ要因が原動力-補助金にあらず
長期的には、EVメーカーの寄与はここからさらに大きくなる可能性があるが、世界展開には壁も立ちはだかる。バイデン米政権は関税を約100%に引き上げ、中国メーカーを実質的に米市場から締め出し、欧州連合(EU)も今月、最大48%の高関税を課す計画を発表した。いずれも中国政府によるEVへの資金支援とそれに伴う過剰生産を理由に挙げている。
ユーラシア・グループのアナリスト、ハーバート・クラウザー氏は中国は電池で特に強みを持ち、同国のEVメーカーがライバル企業に対してコスト面で優位に立つ最大の理由になっていると話す。
クラウザー氏は「中国の電池企業は海外の大手競合企業でさえ驚くような価格水準に達しており、EVの投入コストに関する従来の経済学を一変させる可能性がある」と指摘。この成功はEV電池に必要な原材料を確保するプログラムによるもので、「中国の政策も効果的であり、欧米の産業政策が恐らく今後も苦戦を余儀なくされる」分野だと語る。
人工知能(AI)から再生可能エネルギー、バイオ医薬品に至るまで、中国が今後飛躍する可能性のある有望な分野は多くある。実現するかどうかは中国当局ではなく、科学者や起業家らにかかっている。
戦略国際問題研究所(CSIS)の中国専門家、スコット・ケネディ氏は「イノベーションに向けた環境を整える政府」によって勝者が生まれると語る。それに伴って「新たな局面を切り開く潜在力を持つ企業が最終的に市場に居場所を見つける」ことができるのだと述べた。
原題:China’s EV Success Story Built on Price Wars, Tesla Factor(抜粋)
--取材協力:Linda Lew、Chunying Zhang、ジェームズ・メーガ、Danny Lee.
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