11月米大統領選 アメリカが身構えるもうひとつの「もしトラ」【WBSクロス】
2024年11月に行われるアメリカの大統領選挙で“もしトランプ前大統領が大統領に返り咲いたら”というシナリオに対し、各国の政府や金融市場は経済政策や外交姿勢はどう変わるのか注視しています。一方、アメリカ国内では少し違った「もしトラ」に備える動きが出ています。 「全てバイデンとその仲間がやったことだ。この詐欺の様々な点において控訴する」(アメリカのトランプ前大統領) 不倫口止め料を巡る裁判での有罪評決を不服として控訴する方針を表明したトランプ前大統領。量刑は判事から来月11日に言い渡され、自宅軟禁や禁錮刑が科される可能性がありますが、2日、テレビのインタビューに応じたトランプ氏は「(自宅軟禁や禁錮刑となる可能性は)あり得ることだ。私は受け入れる。支持者が受け入れるのは難しい。いつか我慢の限界に達する」と話しました。 2020年の選挙でトランプ氏が敗れたことに「不正な選挙だ」などと不満を持ったトランプ氏の支持者の一部が暴徒化。連邦議会議事堂を襲撃する事態となっていました。量刑次第では暴動が起きる可能性を示唆したとも取れる発言で、判事を牽制したトランプ氏。こうした中、“もしトランプ氏が大統領に返り咲いたら”ではなく、“もしトランプ氏が選挙で敗れたら”という「もしトラ」に備える動きがアメリカで始まっています。
アメリカ南東部ノースカロライナ州。 「大統領選挙の準備を進めるある投票所にやってきました。その入口を見ると、有刺鉄線が張り巡らされています」(ワシントン支局の中村寛人支局長) 有刺鉄線だけではなく、投票所の中には多くの監視カメラが設置されています。さらに投票所を巡回する警察官の姿も。一体何を警戒しているのでしょうか? 投票所の責任者オリビア・マコールさんに聞くと「職員が遠く離れた場所まで尾行される事件が起きた。不審な荷物が置きっぱなしにされたこともあり、警備を強化している」といいます。 実はアメリカでは選挙運営に関わる職員の38%が有権者からの嫌がらせや脅迫を受けたことがあるとの調査結果があるのです。 「つい最近も選挙管理委員会に粉末が郵送された事件があった。郵便物を開封する際の手袋やマスク、万が一に備えて解毒剤も用意した」(オリビア・マコールさん) こうした状況に、今年5月にはバイデン政権が投票所の職員の身の安全を守るための対策会議を開く事態に。 「選挙を運営する職員に対する脅迫が驚くほど増加している。われわれは職員を脅迫する者を捜査し訴追する」(アメリカのガーランド司法長官) マコールさんはトランプ氏が選挙で敗北し、結果を受け入れない支持者が出ることに備え対策を進めています。 「常に一歩先を考えておくことが重要だ。『抗議デモがあるかもしれない』など想定外の事態に備えている」(オリビア・マコールさん)