ドラマ『春になったら』木梨演じる父・雅彦の「膵臓がん」とは? 初期・末期症状も医師が解説
膵臓がんの初期症状
膵臓がんの代表的な症状について解説してきました。しかし、膵臓がんは特有の症状に乏しく、無症状に進行することもあるので、早期に見つけることが難しいがんとされます。早期発見に重要な初期症状について解説していきます。 ・腹痛 膵臓がんの初発症状では最も多く認められます。ガイドラインでは32%の方の初発症状とされており、膵臓がんと診断される半年前からおよそ25%の患者さんで腹部の違和感の症状も認められます。 軽度の腹痛であれば様子をみる方が多いと思いますが、慢性的な腹痛がある場合には消化器内科を受診することが勧められます。 ・黄疸 黄疸はビリルビンを排出する経路である胆管が狭くなり、ビリルビンが排出されないことで発症します。膵臓がんの初発症状の19%程度と報告されています。 膵臓は膵頭部と膵尾部に分かれており、胆管は膵頭部にあるため、膵頭部に発生した膵臓がんで黄疸が起きる可能性が高くなります。黄疸が起きた場合、自然に改善する可能性は低く、できるだけ早めに消化器内科のある病院を受診して検査を受けることが必要です。 ・腰や背中の痛み 膵臓がんの初発症状として9%程度の方に腰や背中の痛みが見られます。膵臓がんは腹部の後ろ側に位置している臓器なので、腹部の痛みだけではなく腰や背中の痛みとして発症することがあるのです。 腰や背中の痛みで多い病気は腰痛、尿管結石などの病気ですが、これらは安静時には痛くないことや突然発症することが特徴です。そのため、慢性的に背中が痛く、安静にしていても良くならない場合には膵臓がんを念頭において病院を受診することがおすすめです。
膵臓がんの末期症状
・黄疸 初発症状の他に末期の症状としても黄疸が出現することがあります。がんが進行(ステージ2、ステージ3など)すると、がん細胞が血液やリンパ液の流れに乗って、近くや遠くの臓器、骨、リンパ節などに飛び火して増殖し、これを転移(ステージ4)と言います。 膵臓がんは肝臓への血流が多いので、肝臓へ転移することが多いです。肝臓へがんが転移し、大きくなってくると黄疸が出現します。そのため、末期症状としても黄疸が見られるのです。 ・体重減少 がんが進行することによって膵液の分泌が少なくなるため、消化吸収の機能が低下します。また、周辺の臓器を圧迫することによって食欲も低下するため、末期になると体重が減少してしまいます。 ・お腹が膨れてくる 膵臓がんが進行すると腹膜という、腹部の臓器を包んでいる膜にがんが転移します。この状態を腹膜播種(ふくまくはしゅ)と言い、お腹の中に水(腹水)が溜まるがん性腹膜炎を起こしてしまいます。 腹水によって、お腹の張りや食欲低下、腸管の機能が悪くなってしまうため、溜まっている水が多い場合には水を抜く処置を行う場合があります。お腹が膨れて苦しくなってきた時には、はやめにかかりつけの病院を受診して相談するようにしてください。