腸に良さそうな食べ物も逆効果になることも|過敏性大腸症候群におすすめの低FODMAP食とは
最近耳にする「過敏性大腸症候群」。ストレスが起因することも多く、現代病のひとつと言っても過言ではありません。便秘解消のために食べている毎朝のヨーグルトや蜂蜜、納豆。これらは実は、過敏性大腸炎の症状があるときには、大腸でガスを発生させお腹を張りやすくする原因になることが。今増えているISBになったときの食材選びをご紹介します。 〈図で比較してみる〉高FODMAP食と低FODMAP食 ■IBS(過敏性腸症候群)とは IBSは内臓に病気があるわけではなく、精神的なストレスによっても起こります。世界的な情勢不安や自然災害など、ストレスを避けることのできない現代病のひとつ。近年では著名人が罹患を公表することによってその対策や予防法も注目されています。 個人によって症状は異なりますが、長くダラダラ続く下痢や便秘、ガスでお腹が膨れるなどが主な症状です。仕事や家庭での立ち位置や更年期などメンタルやホルモンのバランスが取りにくい50代前後になると発症しやすくなる傾向も伺えます。 ■「ストレス」=緊急事態下で起こるコルチゾールVSセロトニンの大量分泌 人の脳は、強いストレスを感じるとコルチゾールというストレスホルモンを放出させます。一方で、それを抑えようと脳の興奮を抑え心身をリラックスさせるセロトニンの分泌を促します。 セロトニンはリラックス作用もあり副交感神経を優位にし、腸の働きを活発にする働きがあります。便秘改善などには欠かせないホルモンです。 ■実は幸せホルモン「セロトニンの”トゥーマッチ”」 しかし、日常的なストレスによってコルチゾールが分泌され続けることに、セロトニンの分泌も過剰になります。 そうすると、腸の運動が活発になり過ぎてしまい、結果、下痢や便秘といった排便異常や腹痛が引き起こされるのです。 いくら幸せホルモンのセロトニンでも、分泌しすぎは逆効果になるのですね。 ■健康に良いものこそ「ばっかり食べ」は注意。翌日は空ける。一度に少量ずつ取り入れて。 大腸でガスを発生させ、お腹を張りやすくする食べ物のことを「高FODMAP食」といいます。 最近の研究では、高FODMAP食の”大量摂取”は、IBSの症状を悪化させる可能性があり、反対に低FODMAP食は、IBS症状の改善につながるともいわれています。 これも高頻度の”大量摂取”の場合が問題であり、たまに食べるようなレベルなら気にしすぎると逆効果です。 代表的な高FODMAP食と低FODMAP食は次のようなものです。 ■■〈高FODMAP食〉:不溶性食物繊維や飽和脂肪酸、乳酸菌、オリゴ糖など。消化に負担がかかるものが多い。 納豆、玄米、牛乳、シリアル、ヨーグルト、タマネギ、ゴボウ、アスパラガス、カリフラワー、そら豆、全粒粉パン、ライ麦パン、パスタ、蜂蜜、加工肉、カシューナッツ、ドライフルーツなど ■■〈低FODMAP食〉 にんじん、じゃがいも、かぼちゃ、きゅうり、ほうれん草、茄子、トマト、米、そば、オートミール、タピオカ、バター、モッツァレラチーズ、肉類、魚介類、卵、豆腐、マカダミアナッツ、アーモンド、メープルシロップ、キウイ、バナナ、オレンジなど ■時として「休腸日」も。腸活もゆるやかにどうぞ。 これらは、「ヘルシー食材」と言われるものの多いでしょう。 あくまでご自身の体調に合わせて選ぶ必要もあります。 しかし、ストレスがかかっているときは「コルチゾールを抑えるためにセロトニンが分泌されているな!」「納豆や蜂蜜ヨーグルト、シリアルも休憩して、あったかい蕎麦とかたまご粥かな」と、腸活中だとしても、「休腸日」も設けてみてはいかがでしょうか。 ライター/松田真紀(管理栄養士) 管理栄養士、日本抗加齢医学会認定指導士。RYT200修了。自らのダイエット経験や摂食障害の克服を経て「食べて、飲んで、健康的に痩せる」メソッドにたどりつく。「食プロデュース」を行う会社「バードワークス」を設立。2023年1月、神戸に発酵食専門店hakko matsuda slowfood okamotoをオープン。
松田 真紀