SEKAI NO OWARI、心と体を補い合った“総力戦”7thアルバム 不調を抱えたFukase「無理に戦わなかった。そういう自分も肯定したい」
──今作もまさにそうですね。あとはバンドにソングライターが3人いることの強みもこのアルバムにはかなり反映されていますよね。 Nakajin「アレンジやサウンドの方向性においてもそれはかなりありますね。曲ごとに1人のメンバーの意見がイニシアチブを握って制作が進んでいって。「深海魚」みたいなリズムの曲は今まであまり作ってこなかったし、「バタフライエフェクト」も意外とこういうタイプの曲をしっかり形にできたのは初めてかもしれない。あと「Diary」や「Eve」「サラバ」もそうだし、Saoriちゃんのピアノソロも大活躍してると思います」 Saori「ありがとうございます。今回、Fukaseくんの体調が悪い時期が長かったので、時期によってNakajinがリードしたり、私がリードしながら曲を作っていて。元気のある人が引っ張っていくスタイルだったから、いつも以上に詞曲のクレジットがバラバラなんですけど。でも、それがSEKAI NO OWARIの強みだなって」 ──Fukaseくんは作詞に専念した前作からの時間でもあった。 Fukase「そうですね。2年くらい前に強迫性障害が見つかって、その治療をしながらの制作だったので。僕が一切曲が作れなくなって。浮かばないとかそういうレベルじゃないくらいできなくなってしまったんですね。あまりにも不安定すぎて楽器に触ることもできなかったんですね。やっぱり楽器を触って歌うことで作れる楽曲ってあるので。だから、『俺は今、楽器に触れないんだ』って自認して、なるべく音楽から遠ざかるようにしたんです。SaoriちゃんとNakajinには本当に助けられました。ソングライターが僕一人だけだったら間違いなく活動休止していると思います」 ──でも、そんな苦境に立ちながらも、作詞はやり遂げたわけじゃないですか。その原動力はなんだったんですか? Fukase「やっぱりSaoriちゃんからも叩き起こされるので(笑)」 Saori「半ば無理やりね(笑)。「最高到達点」なんかまさにそうですけど、私には絶対にこういう歌詞は書けないから。毎回、Fukaseくんには『具合が悪いから無理だよ』って言われるんですけど、無理やり書いてもらって』 ──そうすると、特にアルバムの頭の3曲、「タイムマシン」しかり「最高到達点」しかり「デッドエンド」しかり、困難を受け入れながらも足を止めず突き進んでいくようなリリックが生まれる。 Fukase「それは超二日酔いでジムに行くような感じなんです(笑)。絶対に行きたくないけど、行ったらよくなるかも、みたいな。そういう状態で歌詞を書いてました。生きるのがやっとの状態だったので、ワンフレーズを書くごとに戻れない道標を自分で打ってるみたいだなと思ったし、だからこそ戻れないんですよね」 ──「タイムマシン」なんてまさにそうですね。どんな結末が待っていようが過去には戻らない、という。 Fukase「そうです、そうです。だから『自信だけはなくすな』って自分に言い聞かせて。自信がなくなったら、ボーカリストでいることも、SEKAI NO OWARIでいることもできなくなってしまうので。自信がない俺とはケンカにならなくていいってSaoriちゃんは言ってましたけど(笑)」 Saori「Fukaseくんの体調が悪かったときは本当に1回もケンカしてない気がする。元気がないくらいが破壊力がなくてちょうどいいなって(笑)」 Fukase「今は元気になって破壊力が戻りつつあるから(笑)」 一同「(笑)」