未婚の若者は家を出て同棲すべき?「困窮する子を支えるのは親」という意識に潜む罠
● お試し婚システムの効果が 日本で限定的と言われるワケ また、一旦は1.5~1.6台まで低下した出生率も、フランスで1.8、スウェーデンで1.7と大幅に回復、婚外子がわずか2%前後に留まる日本や韓国が依然、少子化に悩むのとは、真逆の動きを見せています(THE WORLD BANK:Fertility rate, total〈births per woman〉2020ほか)。 もっとも、山田教授によれば「日本で似た制度を導入しても、効果は限定的ではないか」とのこと。日本は、婚姻関係の届け出がさほど大変ではないうえ、同棲しながら結婚届を出さずにいると「なぜ結婚しないの?」と周りから聞かれる、そのたびに説明するほうが面倒で、「それなら結婚届を出したほうが楽」だと考える若者も多いのではないかといいます。 一方で、既に1割以上の若者(20代後半)が同棲を経験していることを鑑みれば、結婚後の夫婦だけでなく同棲段階の若者にも、住宅支援などの措置を施すことで、「それなら親元を出て、恋人や(異性の)友人と住んでみようか」と考えるケースも期待できるでしょう。 また、いまや「恋愛対象ではない異性とルームシェアするのは、アリ」との回答が、20代では男女ともに3人に1人以上いますから(17年「Qzoo」モニタス調べ)、長く共に過ごす「単純接触効果(繰り返し接することで、好意度や印象が高まること)」が2人の愛情を育み、やがて結婚へと導く可能性もゼロではありません。
23年に私が取材したケースでも、単純接触効果が結婚に繋がったのではないかと思しき事例がありました。 東京豊島区のシェアハウス「RYOZAN PARK巣鴨」。デザイナーや医師、弁護士、記者、NPOスタッフなど様々な職業の人たちが入居しており、定期的にイベントなど、住民同士の交流も図られています。 12年の開業以来、20~30代を中心に20組のカップルが誕生し、すでに30人の子どもが生まれているそうです。 「(同棲カップルの)なりすまし」など不正利用も懸念されますが、それはまた別の角度から取り締まるべき課題でしょう。幸い、日本では33年、住宅の約3軒に1軒(現在約7軒に1軒)が空き家になると見られます(野村総合研究所予測)。 また、人口減少に悩む自治体は「移住」を希望する夫婦に、既に家賃やリフォーム費用の補助など様々な優遇措置を講じています。これらを、同棲カップルにも適用できないでしょうか。 提言:空き家や移住制度を活用し、同性カップルにも住宅支援策を
牛窪 恵