未婚の若者は家を出て同棲すべき?「困窮する子を支えるのは親」という意識に潜む罠
経済学には「規模の経済」の概念があります。一般には世帯規模が大きくなるほど、家賃や食費、光熱費などの単位コストが抑えられるので、一人暮らしより複数人の家族で同居するほうが「コスパがいい」、ゆえにバブル崩壊や通貨危機など、不況や不安な社会がパラサイトの追い風になるのは、当然の現象ではあります。 ● 問題視される「格差の継承」 「親が支える」意識の落とし穴 半面、近年は豊かな親の子が豊かに、そうでない親の子が貧しくなる「格差の継承」も問題視されています。 「親が支える」を当然とすることが、結果的に若者の格差拡大に繋がる恐れもあるのです。 本来、規模の経済が作用するのは「親子」だけではないはずです。とくに若い段階では、親元を出てひとり立ちする方向、たとえば友人・知人とのシェアハウスや、(未来の)恋人との同棲などにベクトルを向かせる支援を、検討すべきではないでしょうか。 提言:「親が支える=当然」ではない。若者がひとり立ちできる形の支援を 昭和の時代なら、入籍しない異性が共に暮らすことを「はしたない」とみる向きもあったでしょう。ですがいまや、同棲経験をもつ20代後半(25~29歳)の未婚者が、男性で10.9%、女性で12.9%と、1割以上存在します。
● フランスやスウェーデンでは 婚外子が全体の5割以上に また、「事実婚や同棲よりも、結婚(法律婚)すべき」かどうか、を問う内閣府の調査でも、20~39歳の女性では「(やや)反対」(25.1%)が「(やや)賛成」(22.9%)を上回る、つまり同棲に肯定的である様子が見てとれます(22年「男女共同参画白書」)。 ご存じの方も多いでしょう。フランスやスウェーデンには、同棲中(予定)のカップルが、入籍カップルとほぼ同等の法的保護(社会保障や財産分与など)を受けられる、お試し婚のようなシステムがあります。フランスでは「PACS(連帯市民協約)」、スウェーデンでは「サムボ」といい、いずれも結婚(入籍)に比べ、関係の成立や解消が簡便なのが特徴です。 両国はキリスト教が基本の国であり、フランスでは「結婚の際に教会での厳粛な挙式を伴う」のが一般的で、離婚時には(双方の合意があっても)「裁判が必至」とされています。 一方、90年代後半(サムボは80年代後半)に新設されたPACSでは、カップル関係の成立と解消が、いずれも裁判所への書類提出だけで済むようになりました。 こうした試みに加え、両国では育児と仕事の両立支援なども功を奏し、いわゆる「婚外子」が、いずれも出生児全体の5~6割にのぼります。