人身売買被害が急増、コロナ前を25%上回る=国連報告
[ウィーン 11日 ロイター] - 国連は11日に公表した報告書で、新型コロナ危機時に減少していた人身売買が、紛争や気候変動に起因する災害などにより急増していると指摘した。 世界で確認されている被害者は2022年に6万9627人と、コロナ前の19年の水準を25%上回った。20年に急減したが、翌年にはほぼ回復した。 報告書は「犯罪者は人身売買を通じて、高度なオンライン詐欺やサイバー詐欺などの強制労働に人々を追い込むケースが増えている。一方で、女性や少女は性的搾取やジェンダーに基づく暴力の危険に直面している」と指摘し、組織犯罪が主な原因と分析した。 被害者のうち子どもが占める割合は38%で、前回の報告書のベースとなった20年の35%から上昇した。 最新の報告によると、成人女性が被害者全体の39%を占め、引き続き最多となった。男性は23%、少女は22%、少年は16%だった。女性と少女の人身売買の理由で最も多かったのは性的搾取で、60%以上を占めた。 被害者の出身地は多岐にわたるが、サハラ以南のアフリカが最多で26%を占めた。摘発件数が最も増加したのはサハラ以南のアフリカ、北米、西欧・南欧地域で、北米と欧州については移民の流入が大きな要因となっている。