「学生時代特有の空気」が怖かった…体育祭のフォークダンスで心がズタズタになった理由<漫画>
体育祭のフォークダンスで心がズタズタに
スタニング沢村:特に体育祭のフォークダンスが嫌でしたね。参加はしたのですが、それはダンスのパートナーがクラスで一番の美少年だったからなんです。 ものすごく可愛くて「この子と手をつなげるんだったらいいや」と思っていました。でも、いざスカートを履いて踊ったら、心がズタズタに傷ついて、ものすごい痛みを感じました。 ――どんなことに傷ついたのでしょうか。 スタニング沢村:私は、「可愛い男の子と手を繋いだ瞬間に、トランスジェンダーという悩みが晴れて、”私の悩みは偽物だった”ということになるかもしれない」という想像をしていたんです。 「女の子になれるなら、それでいいじゃん」と思っていました。でも実際には、「女の子として、人と手を繋ぐことは私には無理なんだ」と痛感しました。
自分の性自認が“場”に合っていない
スタニング沢村:言葉にするのが難しいのですが、これはsex(生物学的な性差)の問題ではなく、gender(ジェンダー/社会的・文化的な性差)の問題で、自分のジェンダー自認がこの場に沿っていないから辛いんだと気づいたんです。 スカートを履くことが問題という訳でもなくて、私が周りの人に女性として認知されながら、“皆の前で男女ペアで踊る状態”が無理なんだというのが、自分の中で大きかったです。 2巻の体育祭の回は、佐々田がどういう行動を取るのか、かなり苦心しながら描いたので是非読んでいただきたいです。
ハッピーエンドを目指して
――1巻の冒頭に、「ひとりの友達の”変身”の物語です」とあるのですが、今後はどういったことを描いていくのでしょうか。 スタニング沢村:佐々田が、今後トランス(Transform)していくという意味の「変身」もあると思いますし、精神的な「変身」もあると思います。 自分でもまだ先は見えていないのですが、『佐々田は友達』というタイトルの通り、ハッピーエンドを目指して描いていこうと思っています。 <文/都田ミツコ> 【都田ミツコ】 ライター、編集者。1982年生まれ。編集プロダクション勤務を経てフリーランスに。主に子育て、教育、女性のキャリア、などをテーマに企業や専門家、著名人インタビューを行う。「日経xwoman」「女子SPA!」「東洋経済オンライン」などで執筆。
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