「宇宙に広がるインターネット市場」 Interop Tokyo 2024 特別企画 「Internet x Space Summit」が開催
NASA、JAXA、タカラトミー、清水建設、日揮グローバル、竹中工務店…さまざまな分野のキーパーソンが登壇
神武 : 今回の「Internet x Space Summit」にはNASAの方が登壇されますよね? 金子 : はい。どうしても来てほしいと何度もオファーして、ようやく来ていただけることになったのですが、NASAからはジム・シャイヤーさんが登壇されます。いまNASAでは “ルナーインターネット”、略して “ルナネット” という地球と同じネットワーク環境を月で構築するという構想を持っていて、アメリカの企業とNASAでは活発に議論も進められています。ジム・シャイヤーさんにはルナネットの構想や現状などをご紹介いただき、月での通信がもはやファンタジーではないことを皆さんに感じてほしいと思います。 神武 : 先日SLIM(Smart Lander for Investigating Moon 小型月着陸実証機)プロジェクトにおもちゃメーカーのタカラトミーさんが話題になりましたが、今回登壇されますよね。 金子 : はい。タカラトミーさんは、JAXAの宇宙探査イノベーションハブで共同研究し、そこから月面に行ったというスーパープレーヤーです。宇宙に物を運ぶと重量がコストになるので、なるべく小さく、容積も小さく軽くしたいというのは永遠の課題です。今回のタカラトミーさんのように、小型化はある意味日本のお家芸みたいなところもあり、国際的にも価値が高い取り組みだったと思います。 神武 : ほかにはどういう方にお話しいただけるのですか? 金子 : まず建設業界ですね。清水建設さんや鹿島建設さんは、宇宙開発についてかなり本格的に取り組んでいらっしゃいます。 神武 : 清水建設さんといえば、月面にホテルを作るといった取り組みを行っているイメージがありますが、今はどんなことをされているのですか? 金子 : 月の砂、いわゆるレゴリス(天体の地表面にゆるく積もった岩石由来の粒子やかけら、小天体の衝突によって生成したガラス片、ダスト等の総称)の運搬やこれをどう使うかや、建築の最初のフェーズとなる地盤調査などを行う上で必要な技術開発などを行っています。 また、エネルギー分野からは、プラント事業を展開している日揮グローバルさんが登壇されます。月の南極に氷があると言われているので、そこから水を抽出、分解して水素と酸素を作り、ロケットの燃料源や発電源を生成する取り組みなどについて紹介されると思います。 神武 : 食についてはいかがですか? 金子 : さきほど月に水があるという話しが出ましたが、とはいえさほど量はなく貴重な資源なので、効率的に野菜を栽培する技術開発はいろいろなところで進められています。宇宙探査イノベーションハブで共同研究を行った竹中工務店さんとはISSでのレタス栽培の実験も行いましたので、こうした技術を月でも使えるようなチャレンジのお話しも出るかと思います。 神武 : また今回JAXAからもいろいろな方が登壇されますが、どういう方がどんなお話しをされるのですか? 金子 : JAXAからは、まず日本の宇宙探査を管轄する国際宇宙探査センターという部署が、月の通信アーキテクチャの開発を行っていて、その開発の進捗や課題などが紹介すると思います。例えば、月の周りのどこに通信衛星を配備すれば良いか、どこに月の通信局を作れば良いか、といった具体的な話しも聞けるかも知れません。 また、先ほどお話しに出た遅延と中断に対応した通信プロトコルの研究開発を行っている追跡ネットワークセンターという部署からも登壇します。 神武 : 衛星通信では、衛星が地球の裏側に行くと通信できなくなるから、複数の衛星でそれをカバーするといったこともやっていますが、月面に行くとなると何が変わるのですか? 金子 : 基本的に同じです。やはり通信リレーといいますか、衛星が月の周りを回って通信先が月面にあるという、基本的な構図は同じだと思います。
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