プロ転向した坂本怜は「身体ができればおのずと結果はついてくる」岩本功ジュニアデビスカップ日本代表監督【テニス】
プロ転向の坂本怜の成長を見届けた岩本功氏「フィジカルを鍛えていけば成長していく」
今年の全豪オープンジュニアでシングルス優勝を果たした坂本怜(IMG)が、全米オープンジュニアでダブルス優勝。ジュニア最後としていた大会を最高の形で締めくくった。西岡良仁(ミキハウス)や綿貫陽介(SBCメディカルグループ)などをジュニア時代に指導し、現ジュニアデビスカップ日本代表監督を務める岩本功氏に、プロ転向を果たした坂本の可能性や日本男子ジュニアが世界で戦っていくために必要なことを聞いた。 【画像】グランドスラム2024で熱戦を繰り広げた日本男子選手たちの厳選写真! ――まず、今年1月の全豪オープンジュニアで優勝した坂本怜選手ですが、この1年で一気に成長したように見えました。成長したポイントはどこでしょうか? 「それはまず彼が背が伸びているところです。今回は計っていませんが全豪の時に194センチから195センチぐらいになり1センチ伸びていました。ということは、まだまだやることが多い。できれば今ぐらいで止まってくれると筋肉をつけていけば良いのですが、食べても食べても身長が伸びるので、成長と言っても良くなっている途中の段階です」 「技術的な違いは全豪の時から比べると、サーブからの展開が良くなりました。サーブから(リターンされたボールを)シバきに(強打)行けるようになりました。以前はサーブを打って一度ボールを落としてラリーに持ち込むという展開だったのが、今はいいパターンになっています。あれだけいいサーブがあるので、そこからネットに出ていくということが、もう少しミックスできればと良いと思っています」 ――身体を厚くしたくても、成長しているから筋力トレーニングを控えていると。 「まだ(身長が)伸びてるので下半身もまだ細いし、もう少ししっかりしてくるとツアーで通用する。だから、あと4~5年かなと。身体が出来上がりだすとおのずと結果がついてくる。今年の9月からプロになるので、その辺ができるようになれば良いですね。一番は『身体』です。今のところ怪我もなく順調に来ています。フィジカルを鍛えていけば成長していくと思います」 ――今年はデビスカップのメンバーにも招集されました。本格的にプロの世界に足を踏み入れますね。 「これ(全米オープンジュニア)が終わるとフューチャーズ、チャレンジャー大会へ向かいます。本当はそこで乗っていって欲しいですね。サーブではもう少しワイドを使って欲しい。キックがいいので、そこからの展開を上手くやって行ってもらえればですね」 ――楽しくやっているところと、感情的になってしまうところがあります。そのバランスはどのように考えていますか? 「バランスというよりエネルギーだと考えています。基本的にはエネルギーはあった方が良い。ストレスを発散することによって、次のプレーが良くなってくるということもある世界なので、もう少し違う形でのストレスの発散をしてほしいと思っています。エネルギーの出し方、発散の仕方ですね。テニスは上手くいくことばかりではありません。それをコントロールしていく。もう大人の大会、フューチャーズに出だしているので、その辺は彼の一つの課題でもあります。普段の生活(練習の中)でその行動(パターンが)が試合で出てくることはあります。エネルギーはどこかで発散した方がいい、それは(気持ちが)落ちていくよりです」 ――監督を務める16歳以下のジュニアデビスカップで日本はアジア・オセアニアで勝ち続けていますね。高田充ナショナルコーチは、「コンスタントに決勝大会に出場できるということはすごいレベルをキープしている」と話していました。その辺についてはいかがでしょうか。 「15年連続(決勝大会出場)ですね。今回もアジア予選を優勝し、11月に世界大会がトルコであります。やはりそこへ向けての準備や合宿の流れができたというのは事実です。修造チャレンジも含めた14歳の合宿とナショナルの14歳以下、ワールドジュニアの櫻井(準人)監督も一緒にやりながら縦の流れがしっかりできたと思います」 「国内合宿を去年は30回ほどやりました。3泊4日、2泊3日を(基本的にはジュニアデ杯の選手を中心に)16歳以下だけではなく上も下(の年代)も一緒に。その中で“継続”というのがテーマで合宿を行ってきました。自分の考えでは、三日坊主でいいから、それを何十回でもやれば三日坊主ではなくなるということで、常に同じ選手ではないのですが全国から選手を呼びながらトレーニング、自分の中ではフィジカルを鍛えなければダメだと思っています」 「ジュニアデ杯やワールドジュニアの合宿をしながら、上の合宿をする時にはその下(の年代)のトップを何人か呼んで、上のレベルでやる時は、毎回ではないですがプロの練習の中に入れてもらうこともあります。例えばですが、錦織圭選手や綿貫陽介選手がNTC(ナショナルトレーニングセンター)で練習している時にヒッティングをお願いしてやってもらうこともあり、(協力してもらった選手を全員挙げることはできないが)NTCを利用して、その年代より上のレベルと練習できる流れができつつあります。少人数でやるようにしていて、例えば16歳以下のメンバー3人に14歳以下のメンバーが1人入るような形で工夫しながらやっていて、(坂本)怜が日本にいる時は学生を呼んでヒッティングをしたり、もしプロが居れば優先的に練習に入れてもらうという感じです」 「その流れで遠征に連れて行ったり、団体戦に関しては一緒に生活をしないと分からないところがあります。これまで見えなかったことが見えたり、プロの言動、時間の使い方の教育も含めてアドバイスができる機会でもあります」 ――坂本怜選手、本田尚也選手、この2人が良いライバルになって次世代の日本男子を引っ張って行ってほしいと思います。 「そうですね、その為にも先ずは坂本が(先に)行ってくれないとですね」 ――(自分のプレーに)ダメだ!ダメだ!となって行くよりですね。 「もっと上手くプレーしたい!というのがエネルギーを(発散しながら)切り替えて行くことだというのが私の考えです。マイナスのエネルギーよりも弾むエネルギーですね、その『エネルギー』はないといけません」