三菱電機、先進レーダ衛星「だいち4号」を公開 2024年度打ち上げ予定
■Lバンド合成開口レーダーは観測幅を最大4倍に拡大
三菱電機によると、「だいち4号」に搭載されるLバンドSAR「PALSAR-3」の空間分解能は「だいち2号」の「PALSAR-2」と同じ3メートルですが、新たにデジタルビームフォーミング技術を採用したことで、観測幅は「だいち2号」の50キロメートルに対して「だいち4号」では2~4倍(観測モードによって異なる)に拡大されました。 言い換えると、「だいち4号」では「だいち2号」と比べて「最大で4倍広いエリアを同じ分解能で一度に観測できる」「同じ広さのエリア全体を同じ分解能でも最短4分の1の期間で観測できる」ことになります。たとえば関東周辺を高分解能モードで観測する場合、観測幅50キロメートルの「だいち2号」では東京湾周辺だけが観測可能だったのに対して、観測幅200キロメートルの「だいち4号」では伊豆~銚子までの広範囲を一度に観測することが可能です。
2024年1月1日に発生した令和6年能登半島地震や、公開日のちょうど13年前に発生した平成23年東北地方太平洋沖地震のような広域にわたる大規模な災害が発生した時、「だいち4号」であれば地殻変動や土砂災害などが発生した地域のデータを一度の観測でより多く取得できるようになるわけです。 地震や噴火によって大地がどのように変化したのかは災害が発生する前に取得したデータと比較することで明らかになりますが、「だいち4号」ではそのような平時のデータも高い頻度で取得・更新できるようになります。JAXAによると、高分解能モード(分解能3メートル)での日本の観測頻度は「だいち2号」の年4回から「だいち4号」では年20回に増加します。平時の観測データがより高頻度で取得されれば進行しつつある地質活動を早期に発見することにもつながりますし、温室効果ガス排出に影響を及ぼす森林伐採や、河川管理施設・港湾施設などインフラの老朽化にともなう変位といった文明活動に由来する変化も、従来と比べて把握しやすくなります。