「美人すぎて普通の役は無理」「整形しすぎ」と言われてきたニコールの大復活【SPURセレブ通信】
「美しすぎて宇宙人のよう」。ハリウッドスターにとってこれ以上なさそうな称賛だが、そう言われてきて苦労した俳優が、現在57歳のニコール・キッドマンだ。 【写真】若い頃のニコールとトム 1967年ハワイに生まれたニコール・メアリー・キッドマンは、心理学者の父、フェミニスト活動家の母のもとシドニーで育った。日焼けに弱い肌で健康的リスクがあったため、太陽を避けるために演劇を始めたという。
「普通の役はできない」美女
180cmの長身を誇る彼女は、幼いころ「脚だけ長い子馬のような不美人」だったと語るが、母国の映画界で経験を積み、のちに夫となるトム・クルーズに才能を見込まれるかたちで1990年代にハリウッドデビュー。巨匠スタンリー・キューブリックよりサラブレットと命名された絶世の美女として脚光を浴びた。 ニコールのキャリアは前途多難だった。20代の若手としてスーパースターと結婚していたため、セクハラを受けることはなかったというが「トムの妻」として軽んじられる向きも強かった。今では考えられないが、イギリスの批評家から「劇場版バイアグラ」と侮辱されることもあったほどだ。なにより、美しすぎた面がある。演技派として認められつつも、代表作『ムーラン・ルージュ』のバズ・ラーマン監督から「普通の役はできない」と断言されたほどだ。 2001年にトムと離婚すると「2週間以上離れない」という夫婦の約束から解放されたことで、仕事の幅もひろがった。つけ鼻をつけて「美を封印した」と話題になった『めぐりあう時間たち』にてアカデミー賞を獲得してみせている。 ニコール・キッドマンといえば「冷たい美人」が定番と言われる。ジュリア・ロバーツなどの同世代と異なり、親しみやすく愛らしいヒロインはあまりやらず、冷静だったりピリピリしていたりする悲劇的な役柄が多かったのだ。
整形バッシング、引退危機からのフェミニズム
「トムとの養子から引き離された」説が飛び交うなかトップ俳優となったことで孤独を感じていたニコールだが、歌手キース・アーバンと再婚し、娘にも恵まれ幸福を手にした。しかし、40代になると役柄が激減。「中年男性は好むが中年女性の人生には興味がない」と言われるハリウッドの悪しき慣例だ。 同時期、悩まされたのが容姿バッシングだ。映画に出演しても、演技より「美容整形をしすぎ」と報じられることが多くなっていた。のちに、本人も、ボトックスによって顔を動かせなくなった後悔を明かすことになる。 いっとき引退も検討していたニコールだったが、心理学者の父と実践的フェミニストの母の志を継承するかのように、あらたなキャリアを切り拓いていった。 まず、プロデュース業を兼ねることで、ハリウッドにおいて一面的になりやすいと言われてきた母親役に深みを与える役を多くこなしていった。『ラビット・ホール』では子を亡くした悲しみに沈む母親、『ある少年の告白』では同性愛の息子を矯正施設に入れる家庭の妻、ヒット作となった『LION /ライオン 25年目のただいま』では自身と同じ養子を迎えた立場を演じている。 さらに、18ヶ月ごとに女性監督と仕事をする目標を掲げた。2016年当時、トップ100映画のうち女性監督作はたった4.2%。スターであるニコールが主演すれば企画が通りやすくなるが、彼女の収入が下がることも意味していた。 有言実行なニコールの計画は、いまだつづいている。2024年には、映画『フェアウェル』のルル・ワン監督によるAmazon Prime Videoドラマ『エクスパッツ ~異国でのリアルな日常~』、女性脚本家によるNetflix映画『ファミリー・アフェア』の製作・主演をつとめている。