乳がんで乳房や乳首を失った人に「人工乳房」という選択もあります|STORY
STORY世代に発症の多い乳がん。乳がんは、がんを摘出できたとしても乳房や乳首を失うことが多く、傷跡を見る度に精神的にも大きな傷を残してしまうと言われています。「人工の指や鼻はあるのに、なぜおっぱいは無いのだろう?」という想いから立ち上げられた人工乳房専門の『natural breast』。女性たちに寄り添う人工乳房とはどういうものなのでしょうか。
喪失感を抱えている女性たちが、これ以上諦めることがないことを願って
――人工乳房を作ろうと思ったきっかけは? 元々、かつら制作の専門の会社を経営していたのですが、そこにウィッグを買いにくる人の3分の1が、病気によって髪の毛を失った女性たちでした。その女性たちのなかでも圧倒的に多いのが乳がんを患っている方々。皆さん片方のおっぱいを失いながらウイッグを買いに来るんです。その時に、人工の指や鼻は存在するのになんで人工のおっぱいはないの?と思ったのが会社を作ったキッカケです。手探り状態で人工乳房について一から研究し、今では設立から10年経ちました。おっぱいがあるうちは気がつきにくいのですが、おっぱいがなくなってしまうと温泉やプールに行き辛くなったり、体のラインが出るオシャレが楽しめなくなったりするんです。何より、喪失感も大きいですよね。そんな女性たちに少しでも寄り添えるものを作りたいという気持ちで作りました。皆さん作り物だからとあまり期待せずに作ってみたら、出来上がりの自然さにとてもびっくりされるんですよ。本物のおっぱいとそっくりなので、今まで諦めていたこともできるんです。 【人工乳房があると…】 ①温泉、プールに人目を気にせず入れる。 ②カラダのラインを気にせず、オシャレができる。 ③パットと違ってズレないので運動を楽しめる。 ④他者に病気になったことなどを悟られない。 ⑤何より自分の気持ちが楽になる。
まるで本物のおっぱいのよう「人工乳房」とは
人工乳房はシリコンで作られており、重さは110g~300g程度。本当の乳房よりは少し軽くできています。内側は空洞になっていて周りのシリコンで胸に着く構造なのでズレにくく、ほとんどの全摘手術の方の手術跡に使えるようになっていて、ヌーブラのような感覚でつけられます。 ーー人工乳房の種類は? 人工乳房は『完全フルオーダー』と、セミオーダーによる『ベーシックタイプ』『ベーシックプラス』『プレミアムタイプ』の中から選べます。フルオーダーはおっぱいを3Dカメラで撮影し、その人にあわせて設計して作るので3ヶ月ほど時間がかかりますが、撮影の時と2回目の色つけの時の2回の来店だけで作るので負担は少ないと思います。全国に45店舗もあるので近くのサロンへ行くことができます。また乳がん全摘だけでなく「部分摘出手術」「乳房再建手術」「火傷」「腫瘍」「漏斗胸」「豊胸」「ポーランド症候群」など様々なケースに対応しています。 一方セミオーダーは、『ベーシックタイプ』『ベーシックプラス』『プレミアムタイプ』があります。『ベーシックタイプ』は日本人の胸の形でよくあるパターンをコンピューターで割り出した、左右で28パターン(片側で14パターン)の型から選んでつくります。この中から約90%は自分のおっぱいに似た形を見つけることができます。誰でも左右同じおっぱいではないので、左右少しくらい形が違っても違和感はありません。『プレミアムタイプ』はさらに健側を見ながらピッタリに色付けし、肌感までそっくり仕上げるので元のおっぱいと分からないレベルにまで仕上がります。 *ベーシックタイプ人工乳房 (¥198,000/1個)、ベーシックプラス人工乳房 (¥220,000/1個)プレミアムタイプ人工乳房(¥253,000/1個)、フルオーダーメイド人工乳房(¥398,000/1個)