JR湖西線、関西と北陸結ぶ「大動脈」開通50年の転機 京都鉄道博物館は記念の「レア企画」で盛り上げ
■京都鉄博で記念企画 おとなの学び講座は毎回テーマを変えて月に1回ほど開催している。京都鉄博の前田昌裕館長は「当館にはお子さま向けのイベントがたくさんがあるが、大人のお客さまに普段研究しているテーマを解説することは学芸員のレベルアップにもつながる」と語る。湖西線については「開通後しばらくしてから乗りに行った思い出がある。もう50年も経つのか」と感慨深げだった。 7月21日までは本館3階ギャラリーで、50年前の開通当時の様子などがわかる収蔵写真展を開催。担当する学芸員の久保奈緒子さんは「1970年に走り始めた新快速が湖西線に乗り入れ、特急などの優等列車も京阪神と北陸を短絡することで現在の琵琶湖線の逼迫していた交通量が緩和された」と説明する。
湖西線を走る急行「立山」といった象徴的な写真を選んで展示したという。久保さんは「江若鉄道の当時を知る年配の方に懐かしんでもらい、若い方には昔の湖西線にはこんな電車があったのか、と見ていただければ」と話していた。 沿線自治体は北陸新幹線敦賀延伸を地域活性化につなげたい考えだ。京都駅からも1本の電車で行ける風光明媚な琵琶湖西岸に観光客を呼び込むことができれば、京都市内のオーバーツーリズムの緩和にもつながる。開通50周年記念イベントは湖西線に改めて注目を集める絶好の機会になりそうだ。
橋村 季真 :東洋経済 記者