JR湖西線、関西と北陸結ぶ「大動脈」開通50年の転機 京都鉄道博物館は記念の「レア企画」で盛り上げ
開通以来、山科―永原間が直流電化、永原以北は交流電化で、かつては両区間をまたぐ普通列車に気動車が使われていたこともあった。2006年に全線直流化されたことで、新快速の運転区間が敦賀まで延長された。駅ホームの長さの関係から新快速は近江今津で車両を切り離すため、敦賀まで直通するのは4両だ。 ■強風が悩みの種 湖西線の天敵が比良(ひら)山地から琵琶湖へ吹き下ろす「比良おろし」。JR西日本は防風柵の設置などの対策を進めているが、強風による運転見合わせや遅れがしばしば発生する。2023年公開の映画『翔んで埼玉 ~琵琶湖より愛をこめて~』でもいじられるほど、滋賀県民にとってはあるあるネタだ。サンダーバードは米原経由で運行することもある。
開通50周年を巡っては滋賀県、大津市、高島市、長浜市で構成する湖西線利便性向上プロジェクト推進協議会とJR西日本によってさまざまな記念企画が発表されている。例えば、7月20日にはラッピング車両「びわこおおつ紫式部とれいん」を使用した記念列車を運行。乗客は「一般枠」「滋賀県民枠」「福井県民枠」それぞれから募集する。 湖西線開通50周年記念イベントの主要な舞台の1つが、京都鉄道博物館(京都市下京区)。6月8日~11日には「521系0番台」(クハ520形4号車・クモハ521形4号車)を本館1階で特別展示する。湖西線ゆかりの収蔵車両「クハ117形1号車」「オハ25形551号車」と並べることにしており、JRの営業路線とつながった引き込み線を活用できる京都鉄博ならではの演出といえる。
また、京都鉄博は7月18日には湖西線をテーマにした「おとなの学び講座」を開催。担当学芸員の廣田琢也さんによると「関西と北陸を結ぶバイパス路線として誕生した同線の現状や、元になった江若(こうじゃく)鉄道からつながる歴史、江若鉄道の廃線跡の状況などを紹介する」という。 江若鉄道は1921年開業の鉄道会社で、1931年に浜大津―近江今津間が全通した。1969年に湖西線建設に伴って廃止。路盤の一部が湖西線に転用された。現在は京阪グループのバス会社、江若交通にその名を残している。