元SMAP「森且行」日本一の称号を手にした82日後にケガ「下半身の50%に感覚がない」
「スタートが決まった瞬間、これはいけるって思った」 序盤から好位置につけた森は、6周回で先頭に立ち、そのまま誰にも譲らず、目の前にはゴールラインが迫る。その瞬間、24年越しの夢が現実となった。 「やっと日本一になれたんだ。本当に神様が見ていてくれたんだ」と、森は心の中でつぶやいた。 ■中居からの一言が森を救った しかし、その栄光も束の間だった。わずか82日後、運命の試練に直面する。森はレース中に落車。フェンスに激突した。
「多発肋骨骨折」「肺挫傷」「腰椎破裂骨折」「骨盤骨折」――。 それは、命が助かったこと自体が奇跡といえるほどの重傷だった。 両足はマヒし、感覚を失った。周囲の人々は「もう無理だ」と思った。そんな絶望感に包まれていた森の携帯が鳴った。中居からのメールだった。 「神様は乗り越えられない人には試練を与えない。だからお前は乗り越えられる」――その一言が森の心に響いた。すべてを失ったように感じていた森の心に、一筋の光が差し込んだ。「これを乗り越えるしかないんだ」と彼は再び立ち上がる決意をする。
森は4度の手術を受け、体内に24本のボルトが埋め込まれた。見守る兄に医師は「歩けるようになるかどうかもわからない」と告げたが、森は諦めなかった。医師に「通常の2倍のリハビリをさせてほしい」と頼み、弱音を吐くことなく、「復帰することが恩返しなんだ」と支えてくれる家族、医師、仲間、同期、そしてファンの期待に応えるため、厳しいリハビリに挑み続けた。 そして彼の脳裏に浮かんだのは、日本一を勝ち取ったあの日のことだった。
「ケガをするのは神様がわかっていたことで、だからこそ日本一にさせてくれたんだと思ったんです。あの時、日本一になれていなかったら、引退していたかもしれない。でも、日本一になったからこそ、諦めずに続けられました」 ■骨盤に埋まるボルトとともに日本一を目指す リハビリ中、森を支えたのはSMAPの「前に!」という曲だった。歌詞の「前に前に」というフレーズが、彼に前進する勇気を与え続けた。 「前に前に 僕ら走り続けいつか辿り着くさ 夢見てた場所へ