モデルでは一番になれないと気づいた…だるま職人になった元パリピが「アマビエだるま」で起こした大逆転
■「20代を捨てる代わりに30代でトップになる」 5代目社長として足場を固めた千尋さんは、2024年12月21日に大門屋初となる国内2店舗目「だるまのふるさと大門屋 Ikaho店」をオープンさせた。場所は、年間約116万人が訪れる伊香保温泉(群馬県)の新スポットとなる複合施設だ。 「父や社内にぶつけていたパワーが外側に向かっているんですよね」 推進力のある千尋さんは1番を目指すために、目の前の壁を乗り越えることで活躍の場を広げ続けてきた。それは自らがパフォーマンスをする場も同じだ。 「ほら、これ見てください」 差し出されたスマートフォンの画面では動画が再生されていた。 それは台湾で単独開催したポップアップストアのワンシーンだった。場所は、台北のランドマークタワー「台北101」の隣にある新光三越の6階。台湾の人にぐるりと囲まれた千尋さんが赤いだるまに筆を入れている。 パフォーマンスが終わった後、だるまを購入する人が次から次へと押し寄せた。閉店まで休みなくだるまの背中に文字を描き続けたそうだ。 この単独ポップストアは好評で、新光三越の担当者から新たなオファーが届いた。 「2025年の1月25日から新光三越の1階でポップアップストアを開きます。春節に向けた大事なイベントです。テスラストアの目の前で業界最大サイズの74センチのだるまへ筆入れもします!」 目を輝かせて語る千尋さんは大舞台での挑戦に喜びを抑えきれない様子だった。 「20代を捨てる代わりに30代でトップになる」と決意して12年。どん底を経験したパリピは自分にスポットライトが当たる舞台にたどり着いた。周りに競争相手はいない。独壇場のパーティーがこれから始まる。 ---------- 中 たんぺい(なか・たんぺい) フリーライター 1989年生まれ。グルメ・テック・Webエンタメに関わるヒト・モノ・コトの魅力を深掘りするライターとして活動を行う。メーカー勤務10年を経て独立。群馬県在住。 ----------
フリーライター 中 たんぺい