【全日本フィギュア】「真瑚ワールド」全開のプログラム披露 中京大・山下真瑚、卒業研究はスケートの衣装について
山下の自由さを生かしてくれた山田満知子コーチ
山下は7歳から名門のグランプリ東海クラブに所属し、伊藤みどりさんや浅田真央さんらを育てた山田満知子コーチのもとで練習している。門下生には、オリンピック2大会連続メダリストの宇野昌磨さんがいて、一緒に練習した時期もあった。「尊敬している、憧れている選手。すごく芯があるかっこいいお兄さん」と、ずっと慕ってきた。 その宇野さんが今年5月に現役を退いた。「そろそろ引退なのかな、と思っていた」と山下。昨年12月の全日本では、宇野さんのラストの演技を会場で見たという。「次に会った時に『頑張ってね』って声をかけてもらえるようにちゃんと練習していこうって思いました」 山下が伸び伸びと演技できるのは、個性を大事にする山田コーチの指導によるところが大きい。「私の自由さを制限せずに、満知子先生は『やってみなさい』と言ってくれるから長い間続けられてきました」 山田コーチは81歳のいまでも試合に帯同し、リンクサイドで選手に発破をかける。「緊張が解けるというか、いつも通りの感じになる」と山下。山田コーチの声かけで平常心を取り戻し、演技に集中できるという。
スケート部主将として活動、衣装に関する卒業研究も
最上級生となった今年度は中京大の主将を務め、主務で2022年北京オリンピック代表の河辺愛菜(まな、2年、中京大中京)とともに部の運営に携わる。「個人競技なのでチーム競技みたいに全員で力を合わせてというのは薄いかもしれないんですが、主将として部員たちの調子を見たり、精神面でも大丈夫かなと思ったら声をかけたりしています」 中京大が子どもたち向けに開催するスケート教室では部員がイベントを仕切る。山下は主将として計画から運営まで、イベントが滞りなく進むように全体に目配りする。「前主将の荒木菜那が私にしてくれたことを、今度は私が愛菜や後輩たちに伝えていけたらと思っています」 さらに今年度から系列校の中京大中京高校で、スポーツや文化芸術に秀でた生徒を対象にした通信制課程が開設した。女子で世界ジュニア選手権2連覇中の島田麻央(木下グループ)や、男子で2024年世界ジュニア銀メダルの中田璃士(りお、TOKIOインカラミ)が入学。練習拠点は違うが、大会で記念撮影をする際に中京大を表す「Cマーク」を手でつくっているシーンを見るとうれしくなるという。 スポーツ科学部に在籍し、2025年3月に卒業予定だが競技は続行する。「引退は近づいているので残りの時間を大事にしたいと思います。なんとなく引退のタイミングは考えているけれど、本当にそこで終わりかわからないし、続けているかもしれません」 卒業研究ではフィギュアスケートの衣装をテーマに選んだ。「どんな衣装がより効果的かを調べています。ジャンプした時に(遠心力で)振られないか、スピンの時にスカートがきれいに広がるかなどの機能性、お客さんがジャッジ(審判)からの見え方、曲に合っているかなどの観点で見ています」 自身の体験だけでなく、選手からの聞き取りも実施。衣装の色については世界大会の上位選手や衣装デザイナーのインタビューを参考にまとめた。「片方に(装飾の)ストーンが多くて(外に)振られるのを気にして、左右対称の衣装を好む選手もいました」と、研究を通して気づきもあった。 将来的にはスケートに関わっていきたいという。「振り付けとか得意なので勉強してみたいなと思っています」と笑顔で答えた。