「普通においしい」は褒め言葉なのか…外国人には伝わりにくい「曖昧な日本語」の味わい深さ
■レジ会計時に使える「否定言葉」 【川添】それはあると思います。今、ふかわさんが以前、番組で話されていたコンビニでの「いいえ」の話を思い出したんですけど。 【ふかわ】ああ、コンビニに行くと「ポイントカードありますか」「レジ袋いりますか」「お箸つけますか」ってやたらと聞かれるから、それにいちいち「いいえ」を返していると、顔つきが「いいえ」になっていって、やがて「いいえおじさん」になってしまうという話。そうしたら、川添さんが……。 【川添】私は「なしで大丈夫です」って言います、って。 【ふかわ】ギリ肯定(笑)。 【川添】「今日は急いでいるので大丈夫です」とか理由をつければ、否定の「大丈夫」だということが伝わるし、「いいえ」とか「いりません」みたいな直接的な否定の言葉を使わなくて済むんですよね。そういった意味では、「大丈夫」は非常に便利な言葉だと思います。 【ふかわ】「結構です」も使えると思うのですが、考えてみると、「結構」も「大丈夫」も、似た運命を辿っているのでしょうか。 【川添】「結構です」も「大丈夫」と同じように、相手の申し出を承諾するのにも却下するのにも使えますね。あと「OKです」も。 ■「fine」も「ヤバい」と同じく二面性がある 【ふかわ】英語でそういう言葉はありますか? やっぱり要らないときは「ノーサンキュー」と言うしかないんでしょうか。 【川添】「I'm fine」に、日本語の「大丈夫です」と同じような機能があるらしいです。「要らない」というときに「No, I'm fine. Thank you」と使うようです。 【ふかわ】英語でもあるんですね。 【川添】そうですね。「NO」をつけたほうが親切なんですけど、「I'm fine」だけでも一応通じることは通じるそうです。 【ふかわ】「NO」をつけないのはたぶん省略的なことなんでしょうね。 【川添】おそらくそうでしょうね。あと、相手を見限るみたいなシチュエーションで「おまえには心底呆れたから、もう期待しない」という意味で、「fine」と言ったりするらしいです。そういう悪い意味の「fine」もあるので、ちゃんと空気を読まないと「OK」なのか「No thank you」なのか、「おまえにはもう呆れたよ」と言われているのかわからない。 【ふかわ】おもしろいですね。「fine」の二面性。「ヤバい」なんかもそうですけど、言葉って、そういう側面ありますよね。二面性という意味では、人間と同じですね。 【川添】そうですね。ひとつの言葉でも、使われているうちにいろんな面が出てくるというか。個人的には、英語の「cool」と「hot」が、もともとは「涼しい」「熱い」っていう反対の意味なのに、どっちも「カッコいい」という意味でも使われるようになったっていうのがおもしろいと思っています。