103万円の壁見直しに地方反発 国民民主・玉木代表「地域が元気になり税収増」
国民民主党が主張する年収が103万円を超えると所得税が発生する「103万円の壁」の見直しを巡って、地方自治体が反発している。国民民主としては非課税枠の拡大による減税で国民の手取りを増やす狙いだが、政府が国・地方で年約7兆6千億円の減収になると試算しているためだ。ただ、世論調査などでは見直しへの支持は根強く、国民民主は来夏の参院選も見据え、強気の姿勢を貫いている。 【図で解説】複数の「年収の壁」と国民民主党の主張 「(減税で)地域が元気になれば国税のみならず、地方税収も増えていく」。国民民主の玉木雄一郎代表は19日の記者会見で「103万円の壁」の見直しによる利点を重ねて訴えた。 玉木氏が理解を求めるのは、地方の首長から行政サービスの低下や財政悪化を懸念する意見が相次いでいるからだ。 ■地方自治体の包囲網 政府は見直しで地方自治体に入る個人住民税は4兆円程度減少すると試算しており、全国知事会長の村井嘉浩宮城県知事は「(個人の)収入が増えれば消費が喚起され、税収も増えるといった夢ごとではなく、地に足がついた具体的な方策を示して議論してほしい」と苦言を呈す。北海道の鈴木直道知事も「行政サービスが低下することになると政策の効果は限定的になる」と指摘する。 地方自治体の〝包囲網〟ともいえる状況に、玉木氏は13日の東京MX番組で「一生懸命、総務省が全国知事会や自治体の首長に工作を行っている」と主張した。村上誠一郎総務相は15日の記者会見で「そういうことはしていない」と否定したものの、榛葉賀津也幹事長も「複数の筋から確認できている。(工作は)あったんだろうと思う」と語る。 ■「譲る気はない」 もっとも、衆院での自民、公明両党の過半数割れで、総合経済対策などを巡る3党協議は国民民主ペースで進んでおり、19日も当初慎重だった自民側から「かなり前向きな打ち返しがあった」(幹部)という。 国民民主は先の衆院選で議席を公示前から4倍に増やしたが、減税策などが支持された面が大きい。玉木氏は19日の会見で、こう強調した。 「極めて重要な政策だ。われわれとしては譲る気はない」。(永原慎吾)