中学受験が再注目されたきっかけは大学入試制度改革!?大学付属校人気は続くのか
早稲田大学は戦略的に定員計画を発表している
本コラム第6回・第7回でも記しましたが、大学入試は一般選抜での入学者の割合が減り、付属校からの内部進学も含む学校推薦型選抜や、総合型選抜といった「年内入試」での入学者の割合が増える傾向にあります。 2016年、早稲田大学は、一般入試とセンター試験利用入試を合わせた「学力重視型入試」と「推薦・AO型入試」の入学定員の比率を、2032年度までに4:6にする方針を示しています(進研アド「Between」2016年4・5月号)。 2023年度大学入試での入試区分別の入学者割合を見ると、一般選抜と他の選抜の割合は、早稲田大学ではおおよそ6:4です。これを2023年度の全私立大学平均の4:6まで持っていくようなイメージです。 加えて、早稲田大学は「Waseda Vision 150 Annual Report 2022」の中で、入学定員削減の目標を掲げています。2022年との比較で計算したとき、2032年には(学部学生総数を4学年で割ってみると)1学年あたり平均791人も減っているというものです。 2023年度入試では、少子化により私立大学の53.3%が入学定員割れになっていますが、早稲田大学は入学定員を確保することが難しくなるから入学定員を減らすのではないのです。早稲田大学は同レポートの中で、常勤教員を2022年度よりも1割増やすとしています。少子化に対応して学生の質を担保しつつ常勤教員を増員することで、少人数クラスによる対話型や問題解決型の授業を増やし、教育の質を高めることが目的なのです。 2022年度(2022年11月)時点での学部生は38,164人でした。単純に4学年で割ると、1学年の学部生は9,541人となります。2012年度の1学年平均は10,994人でしたので、1学年あたりの学部生は10年間で1,453人減っています。さらに10年後の2032年度には、1学年あたり791人減っているという計画です。 「Waseda Vision 150」によると、2032年度の1学年あたりの学生数の目標は8,750人。このうちの4割が一般選抜となると、一般選抜による入学者は3,500人となります。「早稲田大学2024年度入学試験要項」によれば、一般選抜の募集人員は5,135人です。計算上、早稲田大学の一般選抜での入学者の枠は、8年間で1,635人も減ることになります。計画通りに進むと、2023年度の小学校・中学年の子どもたちが大学受験を迎えるときには、このような入試環境になっているということになります。