UUUMを上場廃止させるオーナー会社の腹づもり 買収後も業績は低迷、2度目のTOBに至った深層
今回、晴れて完全子会社化を果たせば、UUUMの上場維持コストはもちろん、オフィス統合による費用削減を合わせて、年間数億円のコスト削減が見込まれる。前述のインフルエンサーマーケティング企業との提携については、TikTokやインスタグラムに強い企業を物色していく方針だ。 11月19日の決算説明会でフリークアウトの永井秀輔CFO(最高財務責任者)は「広告主からすれば、マネージャーをぴったりつけるほどの規模感ではないマイクロインフルエンサーも、ある程度の属性でセグメンテーションし、広告を出していきたい領域だ。この領域でも(ターゲティングに長けている)DSP(デマンド・サイド・プラットフォーム)に近いことをやっていきたい」と意気込みを語った。
■不透明な事業展望への懸念も ただ、UUUMの事業展望が不透明であることから、説明会の質疑では「資本効率を考えると、UUUMの完全子会社化よりも、自己株買いなどの株主還元を優先するべきでは」といった指摘が飛んだ。こうした懸念を払拭するには、完全子会社化によってシナジー創出のスピード感が上がったことを、UUUMの収益面やM&Aの加速で示さなくてはならない。 また今回のTOBが成立すれば、フリークアウトに次ぐ大株主であり、UUUM創業メンバーでもある人気YouTuber・HIKAKIN氏が株式(現在の保有割合は2.2%)を手放すことになる。会社の在り方が大きく変化する中で、今回のTOBのメリットを丁寧に説明し、所属クリエーターらを束ねる求心力を維持できるかも重要なポイントだ。
UUUMの再建、そしてM&Aの加速を通じて、フリークアウトはインフルエンサーマーケティングの総合企業への道を歩むことができるか。グループ内外ともに山積みの課題を1つずつクリアしていく必要がある。
森田 宗一郎 :東洋経済 記者/田中 理瑛 :東洋経済 記者